出版社内容情報
富士・青木ヶ原樹海―今から約1000年前、平安時代の初期に富士山(長尾山)が噴火し、溶岩流が創り出した30平方キロに及ぶ台地は、針葉樹林が簇生する極相林によって覆われ、玄武岩が表層する地面には多種多様な苔類が一面に繁茂する美しい幻想的な自然美を残した広大な原野である。古の昔より、日本人が畏敬の念をもって仰ぎ見た富士の霊峰は、原始的自然美を残す青木ヶ原樹海の神秘的霊性をも包み込んで、今だに多くの老若男女を人生への諦念から異界の彼方へと誘い込む。古の縄文から現代に至るまで青木ヶ原樹海に沈んだ多くの魂がさまよい、生者を呼び込むのだろうか。毎年50人とも100人とも言われる自殺、他殺、死体遺棄による事件は、樹海の神秘的美しさとは裏腹である。何気ない日常の中で、突然のごとく訪れる死の予感と啓示によって自死する人間という生物の不条理の心的世界をミステリアスなタッチで描いた珠玉の短編集。
富士・青木ヶ原樹海/クライマックス・ホレスト/二十歳/癖/奇妙な電話/記憶喪失/モーツァルトの子守歌/蛙の鳴く森に/心残り/龍脈/表と裏/自分の足跡/視線/睡眠の森/月見草/森の歌声/証拠写真/脳梗塞/父子/背負子洞窟
内容説明
人はなぜ死に急ぐのか?富士・青木ケ原樹海で見つかる年間50体の自殺遺体。
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- 和書
- 臨床神経学辞典