トレビ文庫 詩集 北緯三十八度線

中村 泰三【著】

日本図書刊行会（2008/08発売）

• サイズ 文庫判／ページ数 111p／高さ 16cm
• 商品コード 9784823108556
• NDC分類 911.56
• Cコード C0192

内容説明

第１回埼玉文芸賞受賞作品。

目次

１　北緯三十八度線（地獄の天窓；密かな集結；めざす方位へ　ほか）
２　流刑の海（流砂の眼；青い軌跡；嵐を越えて　ほか）
３　黒い光環（祈りの手；冷えた火焔；烈風を衝いて　ほか）

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[蝉海]

「ひっそりと 闇と影は用意された」（p11）「ああ 生きるとは　行くことであるか　思想を分かつ世界の接点に　超え行く者たちの姿を晧晧と浮き出させて」（p48）カッコいい。率直にそう思って、一気に読み通した。敗戦直後、朝鮮半島に在留した邦人というセンシティブなモティーフ故、この詩群を「カッコいい」などと形容するのは避けるべきか。否。著者の詩的美は表層にまとわりつくイデオロギーを取り払い、却って克明に残酷な史実を伝えてくれている。その事実を認め書き綴ることに、いったい何の躊躇がいるというのだ？　

2013/09/29