内容説明
本書の第1部では、著者が1992年から1999年の期間に制作した銅版画作品の写真31点が、掲載されている。第2部の論攷では、作家、受容者、作品媒体のそれぞれに視座を据え、表現における認識作用の主観性と認識内容の客観性との架橋を試みた。表現的普遍性を有する一種のイコンとしての「準―記号表現」を規定し、記号論的、あるいは現象学的に追跡し、著者の制作とともに展開したその結果を構造的に考察、論証している。絵画制作における螺旋的発展構造に新しい記号機能と解釈項を取り入れ、さらに豊穣な絵画の可能性とその展望について叙述したものである。
目次
第1部 作品篇(父と家族のためのエッチング;封印;人たち;限られた時 ほか)
第2部 論攷篇・人―問いかける存在(自己経験の境界;実践と展開;表現性)