ニッポンの貧困―必要なのは「慈善」より「投資」

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ニッポンの貧困―必要なのは「慈善」より「投資」

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  • サイズ B6判/ページ数 242p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784822279219
  • NDC分類 368.2
  • Cコード C0030

出版社内容情報

社会問題化する日本人の「貧困」。「福祉」の観点で語られがちな問題を、日本の経済活動への影響などから分析。

日本の相対的貧困は、およそ2000万人――。75歳以上の後期高齢者よりも多いこの国の貧困層は、この先3000万人まで増えるとも言われています。そしてこの病巣は静かに、けれども急速に、日本に暮らすあらゆる人々の生活を蝕み始めています。

ひとり親、女性、子供…。これまで貧困は、社会的弱者の課題として語られることが多かったはずです。けれど貧困は今や「一部の弱者の問題」として片付けられる存在ではなくなっています。

困窮者の増加が消費を減退させ、人材不足を進め、ひいては国力を衰退させる――。

経済記者が正面から取り組んで見えてきたのは、貧困問題が日本経済や日本社会に及ぼす影響の大きさでした。「かわいそう論」はもう通用しません。求められるのは、貧困を「慈善」でなく「投資」ととらえ直す視点の転換です。企業やビジネスパーソンにできることは何か。貧困を巡る日本の現状と課題、そして解決の糸口を「経済的観点」から分析した初のルポルタージュ。

◆課題編
【1章】統計データが示す現状 普遍化した生活困窮
ネットカフェに6年超 都心に生まれた新しいイエ/介護と非正規雇用で困窮/データが示す貧困リスクの拡大/生活保護費は4兆円/生活保護の受給者が暮らす場所/トイレの窓から逃げた/福祉のあるべき姿とは/「知らないことが議論を阻んでいる」/刑務所の“目的外利用”が映すもの

【2章】貧困を生みだすもの ――(1) “教育ゲーム”が将来を奪う
子供の希望を壊したくない/高い教育費の私的負担/奨学金で自己破産/「大卒のデメリット」/現場労働の軽視が招くツケ

〔インタビュー〕日本学生支援機構 遠藤勝裕理事長
「学生の借金1兆円」が映す、この国の歪み

【3章】貧困を生みだすもの ――(2) 女性と家族を巡る軋み
託児所なんて、ずっと前から当たり前/シングルマザーの専用シェアハウス/育児で狂った、夫婦の歯車/家族か、経済的な自立か/「子供がいることを幸せと思えない」/母に言われた「あんたがいなけりゃ」/2度の妊娠、中絶/なくなった憧れ/未知の「家族体験」

〔インタビュー〕一般社団法人「Colabo」 仁藤夢乃代表
「福祉行政は風俗産業に敗北している」

◆改革編
【4章】“貧困地区”の挑戦 日本最大の「ドヤ街」が「先進地域」に
「1周遅れで先頭を走る」/貧困地区が培った支援力/生まれ変わる街、全国のモデルへ/東京都足立区、悪平等に挑む/教室に響いた「分かった!」/公教育の最大の目的は学力保障/高校中退を防げ/貧困対策は「街づくり」そのもの

〔インタビュー〕滋賀県野洲市 山仲善彰市長
「困窮者自立支援法」モデル都市からの提言

【5章】企業ができること 「貧困投資」はペイする
“最強外資”ゴールドマン・サックスが貧困に投資するワケ/厳密に効果を測定/「貧困投資」の効果/与えるのは「希望の連鎖」/「困窮支援をするのは外資ばかり」/ソーシャル・インパクト・ボンド/スーパーが起こす5日間の奇跡/足かせさえ外せば/積み増された予算/「奨学金、肩代わりします」/仕組みを生んだ“シューカツ”への疑念/「働きやすい職場」と企業の役割

〔インタビュー〕首都大学東京 阿部彩教授
「企業はもう一度、従業員に対する責任を」

【終章】映画『子宮に沈める』が示すもの 「見えないものを見る」意味
密室がもたらす「死」/川崎中1殺害に思う/「もっと違う人の事例がいい」/身近な人の密室に光を当てる

内容説明

後期高齢者よりも多い日本の貧困層。もう、すべての人が貧困問題と無関係ではいられなくなる―。日本の貧困問題を経済記者がレポート。

目次

1章 課題編 統計データが映す現状―普遍化した生活困窮
2章 課題編 貧困を生みだすもの1―“教育ゲーム”が将来を奪う
Interview 日本学生支援機構 遠藤勝裕理事長「学生の借金1兆円」が映す、この国の歪み
3章 課題編 貧困を生みだすもの2―女性と家族を巡る軋み
Interview 一般社団法人「Colabo」仁藤夢乃代表「福祉行政は風俗産業に敗北している」
4章 改革編 “貧困地区”の挑戦―日本最大の「ドヤ街」が「先進地域」に
Interview 滋賀県野洲市 山仲善彰市長「困窮者自立支援法」モデル都市からの提言
5章 改革編 企業ができること―「貧困投資」はペイする
Interview 首都大学東京 阿部彩教授「企業はもう一度、従業員に対する責任を」
終章 映画「子宮に沈める」が示すもの―「見えないものを見る」意味

著者等紹介

中川雅之[ナカガワマサユキ]
日本経済新聞社記者。1982年生まれ。千葉県出身。2006年神戸大学文学部卒業、同年日本経済新聞社に入社。消費産業部で流通・サービス業などを担当。2012年から2015年3月まで日経BP社に出向、『日経ビジネス』記者として主に流通業界を担当。2015年4月から日本経済新聞社企業報道部(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nyaoko

74
格差社会は今に始まった事じゃないと思うのね。いつの時代だってあったのよ。お金のある人は昔からあるし、無い人は無い。でも、お金が無い=貧乏は生きていけれるけど、貧困は違う。命に関わる。この時代になっても貧困の連鎖が止まらないって事は本当に危機的状況で、引いては国力低下にも繋がるのね。その為には子供の頃からの支援じゃなくて、その、子供を産むであろう親世代から支援をしなくちゃ間に合わない。なのに、そういった経済的支援を行う企業がこの国には殆ど無いって、なんかもう、情けないとしか言いようがないよ。2018/03/16

ヒデミン@もも

41
延長して借りた。わかりやすいから購入。タイトルにある『必要なのは「慈善」より「投資」』が戦略的だけれど、内容は至極真面目。日経だもの。特に著者の真摯な考え方に惹かれた。貧困の連鎖をたつにはやはり幼児期の教育と環境が大切。2016/07/17

壱萬参仟縁

35
数字の大きさと実感との乖離に驚きがある。貧困拡大は社会全体の問題(6頁)。ネットカフェ月の家賃が6万円。これには光熱費、通信費、ドリンク代込みとのこと(21頁)。生活保護4兆円(32頁~)。誰も彼も大学に行くのが人生ではない(72頁)。そんなことはないだろう。生涯学習とか言ってるでしょ。カネがないだけで諦めることはない。私は学部時代、1.5年分の学費は還付されたことがあります。そのカネで大学院に行けたかもしれないが。2015/11/29

onasu

32
日本には貧困層が2000万人以上いるとは、驚くべき数字だ。それでもまだ大きな社会問題化していないのは、私感では、物価が安いことと、今はまだ家族の扶助があるため。だが、これもそう長くは続かない。  大学全入時代と言われる中の学費の高騰。2.6人に一人が何らかの奨学金を受給しており、学力の足らない者も多ければ、就職もままならず、滞納も増えている。  貧困問題をもう、自己責任だの、他人事だの言っていては、そうでない人たちに影響が及ぶ時が迫っている。その対策は、国の将来への投資として考えるべき時にきている。2015/12/15

ヒデミン@もも

29
社会福祉論の課題のため再読。2017/07/30

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