出版社内容情報
社会、産業、技術、生活、グローバル化、価値観…変化を予測し、
経営・事業戦略立案の土台となる 「メガトレンド」をつかむ。
【著者からのコメント】
ビジネスとは「市場が求める価値」を仕様に翻訳し、その提供手段のコストパフォーマンスを最適化する行為を積み上げたものです。世の移り変わりとともに、その市場も手段も変化します。
我が国の国民は少子・高齢化し、社会は成熟を遂げ、同時に次代を牽引する主役技術も移り変わってきました。日本が新興国として飛躍を遂げた高度成長期は、産業を牽引する主役技術が電子~化学から情報~サービスへ移行する時期に重なり、それを支えた団塊世代の価値観は、消費や競争を美徳としていました。今や成長活力の源泉はアジアへ移り、ビッグデータやニューロといった最先端の科学がサービス分野にも挑み始めています。時代は確実に転回しています。
ようやく先達の欧米諸国と同様の成熟モードに達した我が国は、自らの手で価値を定義すべき立場に初めて置かれ、戸惑っています。しかし、立ち止まっている暇はありません。日本が牧歌的な製造業のフェーズを脱して、新次元のサービス産業を柱とする社会に生まれ変わるのは、歴史の必然です。この変化を先導すべき企業の経営企画・戦略部門は、現場から上がってきた戦況報告を、経営幹部が納得する見栄えの良い書類に焼き直す調整係に甘んじてはいられないのです。
表面に現れない「新しい価値」を見通すためには、大きな価値の流れを俯瞰し、相互の因果の関係をメタなメカニズムとして理解するプロセスが必須になります。個別の分野に閉じ込もった発想から抜け出し、人文科学、社会科学、自然科学というレベルにまで視座を高めて物事を捉える思考回路が求められるのです。それは一見遠回りで、学究的に見える作業であるが故に、目の前の激務に忙殺される経営者・実務者には敬遠されがちです。しかし、その場しのぎの打ち手を積み上げても、他に先んじた革新的な価値は生まれません。時代の底流を見抜く深い洞察こそ、新規事業の成功につながる一番の近道なのです。
本書は、未来を考える上での基本的な思考プロセスを確認し、メガトレンドを抽出する手法を確立したうえで、主要なメガトレンドをメタ解析の考え方を用いて予測します。皆様が事業戦略や経営戦略を立案する上で、本レポートを戦略ツールとしてご活用いただけると幸いです。
【著者紹介】
株式会社 盛之助代表取締役社長
川口 盛之助(かわぐち・もりのすけ)
1984年、慶應義塾大工学部卒、イリノイ大学修士課程修了(化学専攻)。 技術とイノベーションの育成に関するエキスパート。付加価値となる商品サービス機能の独自性の根源を、文化的背景と体系的に紐付けたユニークな方法論を展開する。その代表的著作「オタクで女の子な国のモノづくり」は、技術と経営を結ぶ良書に与えられる「日経BizTech図書賞」を受賞し、英語、韓国語、中国語、タイ語にも翻訳される。台湾、韓国では、政府産業育成のための参考書として選ばれ、詳細なベンチマーク報告書が作成される。心をつかむレクチャーの達人としても広く知られる。TEDx TokyoにおけるToilet Talkは40万回再生という異例の反響を得ており、Yahoo Japanの動画サイトでは世界の傑作プレゼンテーション・ベスト5に選ばれる。世界的な戦略コンサルティングファームのアーサー・D・リトル・ジャパンにおいて、アソシエート・ディレクターを務めたのちに株式会社盛之助を設立。国内のみならずアジア各国の政府機関からの招聘を受け、研究開発戦略や商品開発戦略などのコンサルティングを行う。