出版社内容情報
昭和のデザイン界の「天皇」とも呼ばれた亀倉雄策。その生涯を振り返り、「デザインと企業経営」のあり方を問い直す。
内容説明
戦前のプロパガンダ、東京五輪、大阪万博、NTT民営化、リクルート事件…。重大局面において、常に日本を鼓舞し続けた稀代の表現者、亀倉雄策。その生涯と仕事から、昭和史の裏側をあぶり出す。
目次
朱と黄金の希望
オレは強盗になる
土門拳との誓い
日本工房
国際報道工芸
それぞれの太平洋戦争
日本宣伝美術会
ニコン
日本デザインセンター
東京オリンピック
大阪万国博覧会
NTT誕生
盟友、江副浩正
いま、再びのデザイン
著者等紹介
馬場マコト[ババマコト]
1947年石川県金沢市生まれ。1970年早稲田大学教育学部社会学科卒業。日本リクルートセンター、マッキャン・エリクソン博報堂、東急エージェンシー制作局長を経て、1999年より広告企画会社主宰。1992年度日本広告業協会クリエイティブ・オブ・ザ・イヤー特別賞、新聞協会賞、ACC話題賞、電通テレビ部門賞、ロンドン国際広告賞など、国内外広告賞を多数受賞。第六回潮ノンフィクション賞優秀作、第五十回小説現代新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スプリント
7
1964年の東京オリンピックのエンブレムやNTTのロゴマークなどを手がけたデザイナー亀倉雄策氏の生涯がつづられています。昭和に起きた重要イベント(大戦・東京五輪・大阪万博・NTT民営化・リクルート事件など)を通してデザイナー亀倉氏がどのような思想のもとに行動したかがよくわかりました。リクルート事件の中心人物である江副氏との関わり合いが特に印象に残りました。2016/01/30
ろま〜な
3
1964年東京五輪のエンブレムをデザインした亀倉氏の生涯。佐野模倣騒動があったタイミングでの上梓ですが、後書きに記された、誘致した国に戦略も想いもないから創造的なデザインなどしようがないと、馬場さんならではの辛辣な想いです。馬場さんと仕事させてもらったこともある私ですが、あのマークもこのポスターもあの商品もこの人がデザインしたと初めて知った、天才クリエイターの物語、非常に面白く刺激を受けました。★詳細感想はブログで→http://tubam.kamakurablog.com/Entry/116/2016/07/30
mizzan72
2
日本のグラフィックデザイン界の祖、亀倉雄策の伝記。関係者への取材が丁寧に行われている印象で、特にオリンピックや万博関連の出来事は、読み物として読んだことはあっても、当事者の声として聞こえてこなかった部分が、きちんとまとめられており興味深かった。文体も読みやすかった。2021/02/21
ムカイジュン
1
私の尊敬する亀倉雄策さんの足跡が本当に良く分かりました。戦前からの話だったのですね。本文中には「暮らしの手帳」編集長の花森さんの逸話も登場し興味倍増です。東京オリンピックからの活躍しか知らなかった私にとってその偉大さを教えてくれた貴重な資料となりました。一回だけ直にお話できたことが私の宝です。2016/03/22
sasha
0
2020年東京オリンピックのエンブレムではゴタゴタしたけど、きっと1964年のエンブレムを超えるものは出来ないんだよね。あのエンブレムをデザインしたのが本書の亀倉氏なのだが、評伝でありながらも日本のグラフィックデザイン黎明期からの歴史でもある。時代が亀倉氏に添ったのか、亀倉氏が時代に添ったのか。両方なんだろうな。こういう人を「絶対表現者」とでも言うのだろうか。リクルート事件の際に江副浩正氏に亀倉氏が語った江副氏と堤清二氏の違いに納得。「経営はデザイン」を地で行ってたものな、堤清二氏は。2017/05/22