出版社内容情報
インダス文明の流れを汲むスピリチュアルなインドと、ITをテコに経済的な離陸を果たし、経済大国に向かって突き進むインド。インドを贔屓する外国人は大抵、インドのもつ精神性に惹かれ、とことん嵌ってしまう。だが、世界最大の貧困人口を抱え、その社会はカーストと宗教に引き裂かれた、矛盾に満ちた国家がインドである。
本書は、旧宗主国である英国のジャーナリストがインド社会の奥深くに入り込み、政治、経済、社会のありのままの姿を描いたルポルタージュ。サービス部門から経済成長がはじまった特異な経済、非効率で汚職が蔓延する役所や裁判所、選挙を左右する下位カーストのパワー、イスラム原理主義と鋭く対決するヒンドゥー原理主義の素顔、いまなお隠然たる力を誇るネルー・ガンジー王朝など、インド社会の不変な部分と変わりゆく部分を手厳しく、かつ温かに描いている。著者は、米中にインドを加えた3国が世界を動かす時代がやってくると予想し、そのためにインドが克服すべき課題も挙げている。
内容説明
復活する大国インドの壮大なる矛盾と可能性。アマルティア・セン(ノーベル経済学賞受賞者)が激賞した元ファイナンシャル・タイムズ支局長による卓抜な現代インド論。
目次
第1章 グローバル化と中世の生活―インドの分裂した経済
第2章 ブッラ・サーヒブ―どこまでも伸びる国家の長い触手
第3章 社会的公正を求めて―下位カーストの台頭
第4章 想像上の馬―ヒンドゥー至上主義の引き続く脅威
第5章 おべっか、万歳!―会議派とネルー=ガンディー王朝の変わらぬ事情
第6章 たくさんの三日月―南アジアの引き裂かれたムスリム
第7章 トライアングル・ダンス―なぜインドと米・中の三国関係が二一世紀の世界を形作るのか
第8章 新しいインド、古いインド―インド近代化の重層的性格
結論 インドは負けるのか―二一世紀インドの機会と課題
著者等紹介
ルース,エドワード[ルース,エドワード][Luce,Edward]
オックスフォード大学で政治学、哲学、経済学を専攻。ロンドン市立大学では新聞ジャーナリズムの大学院課程を修了した。1995年からはフィナンシャル・タイムズに勤務。途中で1年間アメリカに渡り、クリントン政権の財務長官を務めたラリー・サマーズのスピーチライターとして活動した。2001年から2005年まで、フィナンシャル・タイムズの南アジア支局長としてニューデリーに滞在、現在はアメリカのワシントンDCで、同紙のワシントン解説者となっている
田口未和[タグチミワ]
1963年、北海道生まれ。上智大学外国部学部卒。新聞社写真記者を経て、現在は撮影活動を続けながら、ノンフィクションを中心に翻訳に携わる。東京都在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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