出版社内容情報
執拗に妄想が頭に浮かんでくる。しかも、それが自分にとって最も避けたいと思っている想像や衝動だったら……。これまで決して口にされず、医師達の目すらくぐり抜けてきた隠れた“流行り病”、ハーバード大準教授のベア博士は、近年、強迫性障害をそうとらえています。そして、その“心の病”の原因をエドガー・アラン・ポーの短編に登場する「天の邪鬼」の仕業にたとえます。以前は強迫神経症と呼ばれ、「手洗い」や「鍵かけ確認」の繰り返しでイメージされてきた、この病が、実は、誰かがこの地球上から消えてなくなるよう願う想像/幼い子供や老人を残虐な暴力の犠牲にしたくなる衝動/パートナーを痛めつけるような性行為への衝動/動物とセックスをする空想――といった性的、暴力的な妄想・衝動の姿をとることがわかってきました。狡猾な天の邪鬼の狙いは、唯一つ、つまり、その人が最も避けたいと思っている妄想を使って、患者を作り上げることです。読みやすいエッセイ調の語り口で、最先端にいる心理学者が、多様な患者達の実態と、対処法を解き明かしてくれます。一過性の軽症例については、ほとんどすべての人が心に覚えがあることに気づくでしょう。
内容説明
あまりに赤裸々故に誰にも言えなかった、ハーバード大心理学者が解き明かす強迫性妄想の真実。
目次
あどけないわが娘をナイフで刺し殺したい
第1部 おぞましい想念を抱える人々(頭の中に棲む天の邪鬼;子供に対するおぞましい想念;単なる想像にすぎないと、どうすれば確信できるんですか?;何がおぞましい想念を呼び起こすのか?)
第2部 おぞましい想念を治す技法(恐怖と真正面からぶつかる―曝露療法;おぞましい想念を合理的に疑う―認知療法;宗教に関するおぞましい想念;おぞましい想念を薬で治す;立ち向かうためのアクションプラン)
著者等紹介
ベア,リー[ベア,リー][Bear,Lee]
ハーバード大学医学部心理学準教授。強迫性障害(OCD)及び関連障害の世界的権威。同大マサチューセッツ総合病院の強迫性障害研究部門の責任者と、マックリーン病院強迫性障害研究所の所長を兼任。妻と二人の子どもとともに米国ボストン近郊に在住
渡辺由佳里[ワタナベユカリ]
作家。兵庫県生まれ。米国在住。著書に「神たちの誤算」、「ノーティアーズ」(小説新潮長編新人賞)。米国医療をテーマにした評論、エッセイ等を多数執筆
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