出版社内容情報
1996年、アスキーと提携したインターネット接続無料サービスの展開で一躍脚光を浴びたベンチャー企業、ハイパーネット。ビル・ゲイツが注目し、ニュービジネス大賞を受賞、米国での株式公開を控えた同社は、なぜ1年後の97年末に自己破産したのか。銀行の過剰融資、貸し渋り、経営判断のミス、そして……。一瞬の成功から倒産までの過程を、社長自らが実名で詳細に綴る告白ノンフィクション。
内容説明
おれが書かなきゃ、だれが書く。注目のベンチャー企業は、なぜ倒産したのか。迫真の告白ノンフィクション。
目次
プロローグ 1997年12月24日
第1章 創業―1984年2月~92年9月
第2章 展開―1992年10月~95年8月
第3章 ハイパーシステム―1995年9月~97年1月
第4章 転落―1997年2月~10月
第5章 倒産―1997年11月~12月
エピローグ 再び、1997年12月24日
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
エリナ松岡
17
自省的なスタンスで、思った以上に詳しく、かつ小説にはならないギリギリぐらいで娯楽度を保っている傑作だと思います。ま、事業の失敗があったとはいえ、かなり才能のある人であることは間違いありませんので、当然といえば当然なのかもしれませんが。▼板倉さんがやろうとしていた事業はグーグルの広告収入の仕組みに近いのですかね?グーグルがそこにたどり着いて収益化するまで随分かかったはずなので、本書終盤の苦難をたとえ乗り越えていたとしても大変だったろうなという気がします。2020/02/12
乾周平@OdeCode
13
失敗から学ぶことはたくさんあります。その点でこの本は非常におもしろかったです。「経営者の失敗」をケーススタディとして知ることができる貴重な本だと思いました。また、ベンチャーならではの事業のスピード感を味わうこともできました。ハイパーシステムはビジネスアイデアとしては非常に優れていたが、最終的に会社は倒産してしまった。斬新なアイデアとともに、アイデアを形にする力も重要になってくる。アイデア勝負の起業はリスクが大きいことがわかりました。2015/06/14
がんちゃん
11
著者曰く「時代を見越したアイデアを考え、お金を集め、事業化し、アメリカや韓国に子会社をつくり、数多くの講演をこなし、新聞や雑誌に載り、ニュービジネス関係の賞だってとったし、あのビルゲイツだって会いに来た・・・。」時代の寵児らしいが、この本で初めて知りました。ビジネスの失敗本が日本にはないというのが執筆の動機とのこと。素人のそれとは思えない文章力。さすがといったところか。この人も色々な時代の波に翻弄された一人。2017/02/13
手押し戦車
11
成功して多くのお金を手に入れると人間の心理的に驕りや、気の油断、知識の錯覚、自信過剰上になってしまいすべてが上手くいくと強く思い込んでしまって知らず知らずのうちに事業が衰退していってしまう。特に借金については人件費を払ったり消耗品のための借金は無意味。投資、買収など一時的な負債でかつ戦略的に株主にも説明がつく投資なら良い方。自転車操業になりだしても気がつかないくらい一時的な大きな成功はある意味で怖い呪文、当たり前の事が見えていない時は成功や自信過剰な錯覚に陥ってる可能性がある。題名、成功しても冷静でいろ!2014/04/13
baboocon
10
iPhoneの電子書籍版で再読。電子版では本文中の随所に著者が当時を振り返ってのコメントが挿入され、2010年の追記も書き足されている。それに著者のコメント動画も観られるのは、電子版ならではのオマケ。 それにしても、ハイパーシステムという当時としては革新的な事業を思いつき、立ち上げながらも銀行の融資引き上げを皮切りにあれよあれよと転落していく様は何度読んでも切ない。著者が言うように倒産に至る失敗の種はそれ以前から埋め込まれていたとはいえ、銀行の理不尽さを感じてしまう自分はやはり甘いんだろうな。2010/12/26