出版社内容情報
底本
砂子屋書房版(昭和13~14年)
判型
A5判・上製
総頁数約1,300頁
自然主義から芸術至上主義、そじてプロレタリア文学へ。
文学における社会性と階級性の必要を論じ、のちのプロレタリア文学への指針を与えた評論家、片上伸。
近代文学に偉大な足跡を残した、その模索と変貌の軌跡をたどる全集、待望の復刊!!
主な収録内容
<文芸評論>
生みの力/告白と批評と創造と/排主観と無批判/現代の文学思潮/新興文学の意義/未解決の人生と自然主義/現実観の動揺/中間階級の文学/文学の読者の問題/イエーツ論/英国の自然派の系統/明治時代の文学思潮/文学運動の過程について/第三階級勃興当時の文学様式/文芸批評の権威/文学の知的考察/文学方法論の問題/自己の生命の表現/生活の芸術化/俳優の主観性/似而非バザロフ/ディオニソズとアポロ/田山花袋氏の自然主義/文科の本分/ロマンティシズムの精神/他
<口シア文学研究諸論文>
ロシヤ文学批評の起源/露西亜文学概論/トルストイの宗教的人生観/ドストイェフスキーに就いて/虐げられし人々/現代ロシヤ文学の印象/新時代の予感/他
<書翰・年譜>
片上伸
略歴
明治17年(1884)2月20日~昭和3年(l928)3月5日。
評論家・露文学者。愛媛県越智郡波止浜村生まれ。
号は天絃、のち天弦。
明治39年、早稲田大学文科を卒業、「早稲田文学」の記者となり、同誌を舞台に自然主義の論客として本格的な執筆活動に入った。
明治43年、早大文学部教授。
このころから反自然主義の姿勢が強まった。
理想的・浪漫的色彩の濃い芸術至上主義の時代である。
その後、関心はロシア文学に向かい、大正4年より7年まで、ロシア留学、近代ロシア文学を聴講した。
大正9年、早大文学部の露文科新設に伴い主任教授となり、その後文学部長をつとめた。
この時期は、唯物史観の時代といわれ、その文学論は、プロレタリア文学理論の重要な礎石となった。
昭和3年3月5日、脳溢血のため死去、享年45歳。