内容説明
強権の共産党が土地、カネ、人、モノを支配する異形の市場経済モデルが不動産バブルを作り出すのだが、それを支えるのがデフレ日本である。「30年デフレ」の日本で生み出されてきた巨大な余剰資金は、ニューヨークなど国際金融市場を経由して、中国本土に流れ込み、中国経済膨張の原資になってきた。日本の脱デフレとそれに伴うカネ余り解消こそは、習近平体制にとって大きな打撃となりうる。
目次
序章 中国という時限爆弾
第1章 習近平バブルの崩壊
第2章 中国経済の逆回転が始まった
第3章 「人民元決済」を読み解く
第4章 「ドルVSモノ」消耗戦
第5章 米中金融戦争
第6章 なぜ日本は成長しないのか
終章 日本は脱デフレの正念場
著者等紹介
田村秀男[タムラヒデオ]
産経新聞特別記者・編集委員兼論説委員。昭和21(1946)年、高知県生まれ。昭和45年、早稲田大学政治経済学部卒業後、日本経済新聞社に入社。ワシントン特派員、経済部次長・編集委員、米アジア財団(サンフランシスコ)上級フェロー、香港支局長、東京本社編集委員、日本経済研究センター欧米研究会座長(兼任)を経て、平成18(2006)年、産経新聞社に移籍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
115
住宅バブル崩壊後の中国経済。米国での住宅バブル崩壊との比較、不良債権とマンション販売。グラフで比較するとよくわかる。中国経済の悪化はあらゆる問題の同時噴出の様だ。残念ながら、中国は国民の購買力がもともと弱い。外資が逃げ出している今、復活は難しい。外資を呼び込むには透明な制度が必要だが、中国の政治はいまいち信用がない。多少のリスクを乗り換えて外資が集まってきたのは、圧倒的な住宅投資関連の高利回りが目当てだったが、それを失った今欠点しか残っていない。2024/05/10
くものすけ
9
田村氏の著書は分かり易い。しかも、詳細な膨大な量のグラフ付で説得力がある。黄色のラインマーカーで重要なポイントには印が付けられている。ロシアの対ウクライナ向け戦費は中国がロシア産原油を国際市場価格より高く購入する差額(年間182億㌦超)で賄われているという驚きの説を展開されていました。これでは戦争終結は長引くばかり、戦争が長引けはロシアの疲弊(米軍需産業の儲けはあるものの)漁夫の利を得る中国という構図だろうか(恐ろしや)戦場のウクライナが気の毒でならない。最後に日本の消費税減税論を展開(大賛成!!)2024/08/02
しろくまZ
6
元々は2022年~2023年に産経新聞や夕刊フジに掲載された記事が加筆修正され、再構成されている。具体的なデータがカラーのグラフで示されており、中国経済の失速ぶりが主に述べられている。不動産バブル崩壊などに対する経済対策として、中国当局は金融緩和を行いたいが、中国自体が準ドル本位体制なので、思うように実行できないとのこと。また人民元決済を拡大したい中国だが、それを行うとドルの保有額が減り、人民元自体の価値が揺らぐとのこと。なるほどなあ。他の記事も興味深い。2024/09/18
Ryoichi Ito
5
「30年デフレの日本で生み出されてきた巨大な余剰資金が国際金融市場を経由して中国本土に流れ込み,中国経済膨張の原資になってきた。企業もつられて投資する。日本の脱デフレとそれに伴うカネ余り解消こそは,習近平体制にとって大きな打撃となりうる。即ち日本のデフレ終結の成否は米国の対中政策と並んで,バブル崩壊中国の経済停滞を長期化させるかどうかに関わってくる」これは本当だろうか。 2024/06/13
トダ―・オートマタ
3
中国経済、その他の国の経済データを豊富なグラフで示している 中国経済のエンジンである不動産バブルが崩壊しており 景気後退が避けられない 若者の失業率は20%を超えているという 中国では強権で大規模な経済政策を打てると思っていたが今の中国は事実上のドル本位制になっており 外貨が少ないと人民元暴落に耐えられないらしい しかし、ウクライナ危機でロシアと組んだりしているところからどちらにしろ一筋縄ではいかない存在になっている。 日本経済がやることは「消費税減税」と結論付けているが岸田政権にはそれは期待できなそう2024/03/09