内容説明
中世から近代までの通説に人気歴史学者が“威勢のいい学説”を疑う。
目次
第1章 江戸時代に鎖国はなかったのか
第2章 2代将軍が天皇に激怒の「違和感」
第3章 信長の「天下」とは京都周辺だけか
第4章 なぜ西郷どんは大隈重信を嫌うのか
第5章 「男と女」の立ち位置の行方
第6章 天皇をめぐる歴史の謎
第7章 夏目漱石のワケありな門人たち
第8章 人物を語らない歴史研究でいいのか
著者等紹介
本郷和人[ホンゴウカズト]
東京大学史料編纂所教授。1960年、東京都生まれ。東京大学文学部、同大学院で石井進氏、五味文彦氏に師事し日本中世史を学ぶ。専門は中世政治史、古文書学。博士(文学)。史料編纂所では『大日本史料 第五編』の編纂を担当。2016年、『現代語訳 吾妻鏡』(全巻17冊、吉川弘文館)で第70回毎日出版文化賞(企画部門)を五味氏らと受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とん大西
119
相変わらずソフトな語りとボヤキで楽しませてくれる本郷先生の歴史エッセイ。曰く、鎌倉幕府が政府として成功した理由の一つに源頼朝が文書行政という概念を理解していたからとのこと。これが、室町から織豊、江戸へと武家政権の官僚機構を経て維新で洗練されて現在の行政事務手続制に(良くも悪くも)受け継がれていくんでしょうか。そう考えると歴史的感慨深さがあります。識字率が低かった(というか武士階級でさえ文字という概念がどれほど浸透してたかあやしい)時代、頼朝やその文官が当時としてはいかに先進的で優秀だったかがうかがえます。2021/04/24
チャーリブ
35
産経新聞に連載されている「本郷和人の日本史ナナメ読み」の記事を再構成したもの。日本史に関する著者の様々な「違和感」をまとめたものという体裁です。たとえば、江戸時代に鎖国はなかったという解釈が最近研究者の間で力を持って来ているそうです。知りませんでしたが、高校の教科書でも「鎖国」の文字が消えかかっているとか。本当にそうかと著者は「違和感」を表明して、じゃがたらお春や大黒屋光太夫らを取り上げながら考察を加えていきます。反証は具体的な人物や当時の社会通念にあるところがこの方らしいですね。2022/12/20
えぬ氏もわるよのぉ
10
信長の「天下布武」の「天下」は、京都とその周辺を示すのみというのが最近有力な説になりつつあるようだが、著者はそれに違和感を感じるようだ。それを読んでの僕の感想だが、「天下」を日本全国の意味だと公言すると多くの大名の反発を無用に招くので、京都周辺のみという世間の認識にあえて異を唱えなかったけど、信長の本心は、やはり全国制覇だったんじゃないだろうか。2022/09/16
復活!! あくびちゃん!
7
この著者の本を初めて読んだからだろうが、かなりマニアック!! で、自分の思いを主観的に書き連ねている。私自身がそれ程日本史に詳しくないこともあり、登場する人物やエピソードも初めて見るものが多かった。ちなみに、近くにいる日本史マニアにこの本を見せたところ、すぐに食いついたので、そういう人向けの本なのだろう。でも、よくわからない私でも面白そうな感じは理解できたので、退屈せず読み終えました。2021/08/05
hiyu
4
学生の頃は「時系列」で記憶していたように思うが、やはり歴史そのものは人がなすものである。その人に焦点を当て歴史を俯瞰しているようなそういう印象であった。ただ、主観性もそれ相応にあるので他の解釈があるのであればそれもみる必要があるが。2021/09/13