内容説明
北京の特等席に座り続ける新聞と北京から追放された新聞。「あえて書かない」新聞と言論裁判に苦しめられた新聞。GHQに屈した新聞とGHQと闘った新聞。護憲しか考えてはいけない新聞と改憲に理想を求める新聞。戦前から大東亜共栄圏を理想とする新聞と脱亜入欧を訴える新聞。平和だけを目的とした新聞と平和の維持を考える新聞。日本を敵視する国から「友好的」と褒められる新聞と「極右」と蔑まれる新聞…日本の言論はなぜ分断したのか。戦後マスコミの裏面史!
目次
第1章 二つの「中国」と日本の新聞
第2章 言論裁判に勝つ
第3章 福澤諭吉と河合栄治郎
第4章 司馬遼太郎の遺言
第5章 朝日が目指す「大東亜共栄圏」
第6章 追い込まれるメディア
著者等紹介
吉田信行[ヨシダノブユキ]
1941年東京生まれ。64年早稲田大学第一政経学部卒、産経新聞社入社。ソウル支局長、編集局編集長(東京)、欧州駐在編集局次長、台北支局長を経て94年から2005年まで論説委員長。00年から常務取締役、05年から専務取締役を兼務。05年退社し、10年まで国家公安委員を務める。現在公共政策調査会理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
79
筆者は産経新聞の元役員。あとがきに「この本は産経の自慢話をするために書いたのではない」とあるが、単なる自慢話ならまだいい。確かに、北京やソウルで、中韓政府からの圧力に敢然と闘った産経新聞の姿勢は立派だと思う。しかし、自らの主張を正当化するために、朝日新聞を「戦前は軍の御用新聞」「GHQの占領統治に協力した新聞」「反日ではなく亡国」などと貶める必要があったのか。更に、前田久吉、水野成夫、鹿内信隆によって形成された産経新聞について、あえて福沢諭吉や河合栄次郎の系譜だと主張することは、牽強付会にすら感じられた。2021/04/17
めっかち
5
産経新聞と朝日新聞の違いに関する説明が興味深い。産経が「弱い日本」を強くしようとしているのに対して、朝日は「強い日本」を弱くしようとしている、と。これ、朝日好きの人でも頷いてくれるのでは? 他にも、裏話、零れ話多数。2022/11/27
Taizo
5
2020年の著作。産経新聞で長らく活躍した著者による、新聞黄金期を支えた伝説的人物とともにその歴史を振り返る一冊。「活字媒体が未曾有の危機に瀕している時代にあって、なんとか生き残って欲しいと願う気持ちが筆を取らせる動機となった」とのことです。「産経の言論が消えることは例えば、日本最南端の沖ノ鳥島が消えるようなもので、巨大な排他的経済水域が一挙に失われてしまう」と的確にその影響に関しても言及しています。一読ではなかなか頭に入らないことも多く、歴史の勉強と並行してもう一度読み直す予定です。2021/10/09
ナリボー
4
7/10 掲題の通り、産経新聞側から見た産経と朝日の立場の違いの大枠は概ね理解することが出来た。2024/04/05
Go Extreme
2
新聞は貧し続けるのか 二つの中国と日本の新聞:31年間の産経イジメ 「あえて書かない」朝日 言論裁判に勝つ:日本共産党の横ヤリ 水野成夫と宮本顕治 政党のスラップ訴訟 福澤諭吉と河合栄治郎:明治大正を代表する新聞 GHQとの闘い 歴史のイフ 司馬遼太郎の遺言:あまりに突然の死 司馬の怒り モノを考える新聞 朝日が目指す「大東亜共栄圏」:弱い日本にしたい 現代に残る検閲 反日ではなく亡国の思想 お祈り平和主義 左派のトライアングル 追い込まれるメディア:護憲派の思考停止 武士道の精神 新聞の自由と責任2021/11/16