内容説明
昭和天皇と弟宮が生きた昭和という「哀しみ」の時代。皇居の濠を隔てて対峙する昭和天皇とマッカーサーの息詰まる心理戦。“天皇制下の民主主義体制”へ、この国のかたちを決めた決断の時を、昭和天皇と三人の弟宮が担った歴史的使命を、新視点で問い直す。
目次
昭和天皇とマッカーサー(皇居の濠を隔てて対峙する二人の視線;占領者と被占領者の「黙契」;皇居前広場にこだまする「音」 ほか)
昭和天皇と弟宮(富士山を見つめていた秩父宮;秩父宮―近代日本で初めて経験する第二皇子という立場;秩父宮―日米開戦と御殿場での療養の日々 ほか)
“同時代史”から“歴史”へ移行する昭和天皇像(相次いで公開された側近たちの記録が伝える昭和天皇像;昭和天皇にとっての八月十五日―先帝を超えて)
あとがきに代えて―昭和天皇の勝利、天皇制下の民主主義体制へ
著者等紹介
保阪正康[ホサカマサヤス]
ノンフィクション作家・評論家。「昭和史を語り継ぐ会」主宰。1939年札幌市生まれ。同志社大卒。昭和史の実証的研究のため、延べ四千人に聞き書き取材を行い、独力で『昭和史講座』の刊行を続ける。2004年に第五十二回菊池寛賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひっと
4
「昭和63年の宮内記者会との会見の際、対戦時の心境を語られたとき一筋の涙が頬を伝った。」「陛下は決して『責任』という語を使わない。それはその語の重みを誰よりも知っているから」他昭和天皇と弟宮様方の思想と行動を知ることができました。昭和という時代を政治家や経済人だけではなく、陛下とその弟宮様方の考えと行動を通して、もっとじっくりと知りたいと思わせてくれる一書でした。 2013/11/07
tecchan
0
敗戦後の昭和天皇とマッカーサーの闘い、そしてふたりが尊敬と心の絆が結ばれるまでを描く。また、昭和天皇と3人の弟宮(秩父宮、高松宮、三笠宮)の戦時中の苦悩、戦後の民主主義下の天皇制が成立して行くまでの軌跡を分かりやすく解説する。特に、今迄知らなかった弟宮達のことが勉強となった。2016/06/27
メロン泥棒
0
「皇居の濠を隔てて対峙する昭和天皇とマッカーサーの行き詰まる心理戦」と帯には書いてあるが、ちょっと大げさ。このシリーズは基本的に昭和にまつわるエッセイ集くらいに読んだ方が良いかも。ただ、皇居からGHQが覗けたのではないかという視点は面白かった。2011/02/14