内容説明
歴史は疑うから面白い。本郷教授が定説を疑いまくる。
目次
合戦史の「定説」は本当か―はじめに
第1章 戦いを決する「兵力」の謎
第2章 秀吉の天下取りと「行軍力」
第3章 武将が「城を攻める」意外な理由
第4章 関ケ原と大坂の陣にみる「大名」の実像
第5章 信長・信玄たちの古戦場で見えること
第6章 家康の隠れた「遺産」
第7章 三成はなぜ「忖度」できなかったか
著者等紹介
本郷和人[ホンゴウカズト]
東京大学史料編纂所教授。1960年、東京都生まれ。東京大学文学部、同大学院で石井進氏、五味文彦氏に師事し日本中世史を学ぶ。専門は中世政治史、古文書学。博士(文学)。史料編纂所では『大日本史料 第五編』の編纂を担当。2016年、『現代語訳 吾妻鏡』(全巻17冊、吉川弘文館)で第70回毎日出版文化賞(企画部門)を五味氏らと受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yamatoshiuruhashi
58
軍事を科学的に検証せずして歴史を理解することは難しい。その当たり前のことを等閑にしてきた戦後日本の歴史界だが、そのことを公言できるほど自由に論ずることができるようになったのだろうか。兵の損耗は即ち自国の生産力に直結するのであるというのに、軍の損耗度を理解できない「歴史物」を読んだり見たりすると興醒めであるが、その視点を中心にトリビア的に進められる本書は、なかなか楽しめる一冊だった。軍事とは関係ないが落語「らくだ」でなぜ厄介者のあだ名が「らくだ」なのか、そして「かんかんのう」とは何かの論及あり初めての知識。2022/07/21
Koichiro Minematsu
43
信長が今川義元に勝った桶狭間の戦い。信長の奇襲攻撃が定説とされてきたが、筆者は「果たしてそうだろか」っと兵力である農民の数と時代背景で疑ってみると正面攻撃説がみえてくる。戦国時代の軍事力を考えるのは、面白い。2019/09/14
謙信公
23
産経新聞の連載記事を加筆、再構成。信長の兵力、秀吉の行軍力、信玄の城攻め、謙信の用兵、家康の「遺産」など、定説を疑い考察する。戦後、日本史という学問は大きく変った。権力を構成するのは「軍事と政治」だが、軍事忌避は戦国史研究にもある。戦いで兵の数は力。領主は国を豊かにし、人口を増やし、食料を蓄え、交通路を整え、強い軍事力を構築していく。こんな当たり前のことが現状の歴史学ではなおざりにされているようだ。と言いつつ、自身歴史研究者として史料の裏付けをせずに、報道等を参考に論述したことへの反省が散見される。潔い。2023/03/14
鐵太郎
23
戦国時代のあれこれを、ちょいとエキセントリックな説を持ち出して先生方に叩かれている本郷和人さんが、あちこちの切り口から描きます。戦国武将の率いる兵力の実数、秀吉の行軍力と政治力、なぜ武将は城攻めにこだわるのか、大名の定義とはなにか、家康が作り上げたホワイト企業の姿、花押はどんな伝統があるのか、「信長は普通の武将説」が学会を席巻しているが本当なのか。などなど。うん、軽い読み物として面白いね。2019/08/10
パトラッシュ
20
戦国史にまつわるエッセイ集だけに、どこから読んでも面白い。何となくそんなものかと思っていた説を快刀乱麻に斬り伏せる手腕は熟練の武士のよう。特に大名の権力がどの程度強かったのか、人びとが乱世を生きるためどのように行動したかなどは、あまり歴史小説の題材にもなっていないので非常に興味深かった。また信長がサイコパスだったり、石田三成がアスペルガーだったなら、確かに戦国史を見る目ががらりと変わってしまう。西尾幹二先生は「われわれは常に複眼を要求される」と述べていたが、歴史に関しての複眼を提供してくれる本といえよう。2019/07/27
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