内容説明
右にも左にも怯まなかった日本人がいた!戦前、マルクス主義の痛烈な批判者であり、軍部が台頭すると、ファシズムを果敢に批判した。河合人脈は戦後、論壇を牛耳る進歩的文化人と対峙する。産経新聞長期連載「独立不羈 河合栄治郎とその後の時代」に加筆、再構成し単行本化。
目次
第1章 理想主義と反骨精神
第2章 孤軍奮闘の農商務省時代
第3章 帝大経済学部の「白熱教室」
第4章 二年八カ月の欧州留学
第5章 「左の全体主義」との対決
第6章 ファシズムに命がけの応戦
第7章 正面から放った軍部批判の矢
第8章 名著『学生に与う』誕生
第9章 戦後を見通した「有罪願望」
終章 戦闘的自由主義者の水脈
著者等紹介
湯浅博[ユアサヒロシ]
産経新聞特別記者・論説委員。1948年、東京生まれ。中央大学法学部卒、プリンストン大学公共政策大学院Mid‐Career Program修了。産経新聞入社後に政治部、経済部を経てワシントン特派員、外信部次長、ワシントン支局長、シンガポール支局長を歴任。2002年7月から現職。国家基本問題研究所企画委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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十割そば
3
安部首相が休暇に読んだ本として紹介されていたので、購入。 河合は、身に危険が及ぶおそれがあったにも拘わらず、自由主義の立場から、5.15事件や2.26事件の後に、軍部独走や全体主義を批判する論陣の最前線を張っていた。その覚悟には感服。 現代においても同様の問題はあり得る。日本全体が戦争など大きな流れに飲み込まれている場合に、我々はどう行動すべきか、自分の所属する組織の中での大きな流れに対してどう行動すべきか。自分には悩ましく、河合の「唯一筋の道」という信念が唯々眩しい。2019/05/12
数学の問題集
3
河合栄治郎に関する作品としては、本著にも名前が出てくる松井氏の『河合栄治郎 戦闘的自由主義者の真実』を読んだことがある。それと比較してみると、本著では河合の思想・哲学についての描写が少ないように感じる。しかし、もともと新聞の連載ということが関係しているのか非常に平易な表現を用いていることなどから、河合の評伝として概観を掴むのには適していると言える。また、松井氏の著作では描かれていなかったこともあげられており、河合の死後に関して興味深い。本著を読後、松井氏の作品を読むとより深く理解することができると思う。2017/02/21
たっつん
1
右にも左にも流されず、自由主義を貫いた人。敵対する側であっても、弾圧には与しない。終戦前に53歳で早逝したのが残念。これほどの人物なのに名前も知らなかったのが不思議だ。2022/05/20
おとう
0
すばらしい。2019/03/19