内容説明
戦後システムが崩壊しつつある。新たなシステムはいかなるものか?国際的、政治的、経済的、法的、社会的諸側面とその構成の仕方を、3つの戦争と地域の視点から問い直す。
目次
第1章 民衆の登場と日露戦後―排外主義と民主主義(日露講和騒擾への対応にみられる立憲同志会成立の要因;権力に「してやられない」視点を―澤地久枝著『火はわが胸中にあり』 ほか)
第2章 関東大震災と権力がコントロールできない民衆―一九二〇年代の自立した社会(関東大震災における虐殺・総力戦体制・戦後史;大正デモクラシー研究の一視点―自治と参加と事大主義)
第3章 脱第二次大戦戦後システムの構成―戦後の語り方(戦後の語り方―サクセスストーリーとナルシシズムから“学問”へ;戦後日本の形成・変容と戦争―脱戦後体制の構想のために ほか)
第4章 地域からみた脱戦後システム(脱戦後体制と地域―戦後史のパースペクティブ;地域づくりと意志決定過程―「風評被害」の克服と地域づくり(水俣市の場合) ほか)
第5章 脱戦後システムへの課題(占領改革は日本を変えたのか;占領戦後史のメタ認識、地域、三・一一 ほか)
著者等紹介
雨宮昭一[アメミヤショウイチ]
1944年山梨県生まれ。1973年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。法学博士。ハーバード大学客員研究員、茨城大学教授を経て、獨協大学法学部教授。専攻は政治学、日本政治外交史、地域政治論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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八八
2
岩波新書の『占領と改革』を読み雨宮の考え方が面白いと思い、ブックオフで売っていたので購入した。内容は今までの論文をまとめた思考の変遷をたどったものである。国防国家派・社会国民主義派・自由主義派・反動派という4つの潮流が、総力戦体制や戦後体制をどのように形成したのかという考えは面白い。また、地域の歴史をこれらと結びつけて考察している点も良く、その中でもベットタウンシステムという視点は斬新である。しかし、歴史的な流れを潮流やシステムという括りで把握するのは少し保留が必要なのかも知れない。2018/03/07