内容説明
なぜ援助が行われるのか。援助国政府・ODAの理念や動機はどう作用し、NPOなど多様な利害関係者の途上国・国際社会・援助国内での働きかけがどう影響するのか。具体的事例を通じ検討する。
目次
本書の視座
第1部 開発援助政策の基本構造(「開発援助政策」とは何か;開発援助の目的と「動因」;開発援助の「動因」の考察)
第2部 開発援助政策と各種ステイクホルダーの影響(第2部の検討の枠組み;ドナー・コミュニティと開発援助政策;国際援助コミュニティと開発援助政策;国際関係の中の開発援助政策;開発援助政策に対する途上国側の影響;援助国内のステイクホルダーと開発援助政策;今後の展望と課題)
著者等紹介
下村恭民[シモムラヤスタミ]
法政大学名誉教授。1940年、東京都生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業、コロンビア大学大学院経営学修士課程修了(MBA)。国際協力機構(JICA)の前身である海外経済協力基金で調査開発部長、経済部長を歴任。埼玉大学教授、東北大学客員教授を経て2010年まで法政大学人間環境学部教授。1999年から2003年まで国際協力銀行(JBIC)監事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とある本棚
7
なぜ開発援助が行われるかを①国際規範、②国際摩擦の緩和、③国内政治の帰結、の3点から説明する。開発援助の類書ではどうしても①に重きの置いた綺麗なストーリーで援助の実態が語られることが多いが、本書は国益や国内アクターにも目配りして、②・③から援助が説明させている点が興味深い。特に③の例として挙げられている対中円借款停止の政治過程が面白かった。対中円借款停止は中国の経済力の上昇が要因だと思っていたが、実際は停止が決められた時点で、DAC基準では中国は「低中諸国」に分類されていたというのは驚き。2022/08/11