出版社内容情報
自然科学の思考方法や様式が社会現象の領域へ埠頭に拡大されていた中で、人間行為への洞察と経済学の目的・可能性を追求した著者晩年の名著。
内容説明
因果律的研究である自然科学の方法を、目的論的研究である人間科学―社会科学―にまで拡大適用する風潮の中、明哲な認識論に立って現代の経済が直面する諸問題に対して、揺るぎない視座を示した晩年の名著。
目次
序論に代えて、人間行為学に関する予備的考察
第1章 人間精神
第2章 知識の行為者的基礎
第3章 必然と意志の行使
第4章 確実性と不確実性
第5章 経済学の領域と方法に関する通俗的誤りについて
第6章 経済学的思考無視の結末
第7章 一元論の認識論的基礎
第8章 実証主義と西洋文明の危機
著者等紹介
村田稔雄[ムラタトシオ]
1923年高知市にて出生。1959年ウィリアム・フォルカー奨学生に採用され、ニューヨーク大学経営学大学院に留学、ミーゼスに師事。1960年同大学よりMBA(経済学専攻)取得。1962‐69年関東学院大学経済学部専任講師を経て助教授。1969‐99年横浜商科大学助教授、教授、学部長を経て、学長。現在、横浜商科大学名誉教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
脳疣沼
3
経済学とは何かをミーゼスが哲学した本。なかなか、何を言いたいのか把握しにくい本だが、途中で訳者のあとがきを読んでから、やっと論旨が頭に入ってくるようになった。やはり、『ヒューマン・アクション』を読みたくなる。2019/05/08
NulliusInVerba
2
繰り返し強調されていることは、自然科学で使われている方法で、人間行為学である経済学を扱うべきでないということである。目的を持って行動する人間を扱う経済学は、ただ因果的に運動する物を扱う自然科学とは異なる。それらを混同してしまうと、各個人の行為の集合である経済を管理可能な物と看做してしまい、人類を繁栄に導いた資本主義を破壊する思想に繋がってしまうということが主張されている。物理に関して述べられている部分に疑問を感じることもあったが、自由と市場経済が現在の繁栄の根柢にあるという主張には納得せざるを得ない。2012/10/18
-
- 電子書籍
- 小説現代 2024年 8・9月合併号(…