内容説明
本書は、カレツキの価格設定と分配のミクロ分析の発展について、史的観点から綿密な検討を行い、ミクロ分析が産出高および雇用量といったマクロ的集計量の決定に果たす役割を明らかにしたものである。カレツキの枠組みは、ミクロ分析およびマクロ分析がそれぞれ独自の領域を形成しているだけでなく、ともに密接な相互依存関係にあり、両者が一緒になってどちらか一方だけでは与えることのできない情報を生み出している。著者は、古典派、新古典派および幾人かのポストケインジアンの経済学者たちの経済学との対比の上で、カレツキの経済学の独自性を明らかにする。
目次
不完全競争理論の諸相
独占度の歴史的起源:ラーナーの分析
カレツキのミクロ分配理論(1938‐39年;1939‐41年;1943‐71年)
ミクロ的基礎:カレツキアンの見解
付論:同義反復的である独占度?
著者等紹介
松谷泰樹[マツヤヒロキ]
慶応義塾大学大学院経済学研究科博士課程在籍。1990-91年イギリスのヨーク大学にてvisiting scholar(ロータリー財団大学院奨学生)として研究
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。