内容説明
本書は、国民経済が形成される過程で商品流通の果たした役割を、イギリスを中心に歴史的に検討しようとするものである。たしかに、国民経済の歴史的検討といった方向は、最近の研究動向のなかで、やや影の薄いものになっている。むしろ個別具体的な民衆生活の在りようや心性などを重視する立場、あるいは逆に世界的な規模での経済発展を重視する立場などの方が注目されているようである。これらの動向は決して無視されるべきものではない。特に前者の立場に対して本書は積極的にこれを取り入れようとしている。
目次
第1章 国民経済と国内統一市場(国民的統合と商品流通;イギリス国内市場論の形成―研究史的考察)
第2章 商品流通の構造(商品流通の拠点;伝統的市場とその変質;生活圏的市場圏と全国市場)
第3章 商品流通の担当者(小売商業と市場関係;全国的商品流通の担当者―卸売商業と運送業者;小売商業の近代化をめぐる論争について;ロンドンにおける中間商人の性格―毛織物仲買商を中心に)
第4章 流通業者の経営形態―W.スタウトの商業活動(クェーカー商人の系譜とW・スタウトの自叙伝;営業形態―営業の規模と販売方法;仕入れ活動と商品輸送;小括―商人経営と商品流通)
第5章 結びにかえて―D.デフォーの国内市場論
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