内容説明
哀しくとも楽しくとも酒は常に人の世にある。かつて、酒は神々との交歓を願う、集いの酒・宴の酒であり、人は深く酔った。昭和の前期、不況・恐慌・戦争と続くなかで、人は少ない酒を、悪質な酒でも、求めて飲まねばいられなかった。いま、豊饒のなかで、人は「いつもほろ酔い」。酒税の推移、醸造技術の発達、酒場の変貌、新容器の登場などと相俟って、時代は「酒の飲みよう」を大きく変え、「酔い」もまた違ってきた。酒杯に映す世相を振りかえる。
目次
第1章 昭和の構図
第2章 変わる酒の飲みよう
第3章 深まる戦時色の中で
第4章 戦時下の酒事情
第5章 酒再興の足どり
第6章 「戦後」脱却
第7章 豊饒の時代
感想・レビュー
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「記憶の濃密さは歴史が鮮明に見えていることと同じではない。 では、私的な体験の背後にあるものは何か。思うに、「国際化」と「科学技術の進歩」。この二つが今世紀の歴史を一貫して動かし続けてきたことに異論はあるまい。」 「酒ほど貧富の間に均一に、消費せられている商品は見られぬようになった」(柳田国男) 著者は、税制と技術の変遷から、丁寧に調べ上げていく。 税制の部分は私の無学のせいで理解し切れなかった。 技術の変遷を、酒造メーカーの記録から丁寧に調べ上げている部分には、思わず引き込まれた。このような地道な2007/03/05




