内容説明
戦前の味つけの主役は食塩であり、みそ、しゅう油、酢などがこれに加わった。とくに植物性の食品が多かった日本では、アミノ酸を含んだ調味料で料理素材のもつ淡泊な旨味を生かす工夫がなされてきた。さらに水のよさも味つけを支える大きな要素であった。戦中・戦後の物質不足の時に少量の油を使う料理が見直され、当時の栄養不足を補ったが、これがその後の食生活に大きな変革をもたらす契機となる。肉食の増加、インスタントラーメンの登場、冷凍・加工食品の普及等に加えて、水質の悪化は油の消費量を急伸させ、次々と新しい化学調味料が誕生した。水が中心の味の文化から油を中心とする味の文化へ、日本の食文化はどのように変遷したか。
目次
第1章 アミノ酸は味のベース―昭和初期の日本の味
第2章 チキンライス、カレーライスはごちそうだった―昭和初期の洋風調味料
第3章 苦心の味―戦中戦後の調味料受難
第4章 油に流された水―新しい食生活の始まりと調味料
第5章 油は化学調味料の育ての親―高度成長時代以降
第6章 味の博覧会―飽食から拒食の時代へ



