内容説明
コヘレトは「虚無主義者」ではない。すべては空しい。そんな、一見、聖書らしからぬ言葉に満ちたコヘレト書。第一人者が鮮やかに読み解き、その主題を浮き彫りにする。「空しいから、あきらめる、のではない。空しく、先が見えない、だからこそ、今、最善を尽くせ!」
目次
すべては空しい
飲み食いし、魂を満足させよ
何事にも定められた時がある
太陽の下での虐げ
神は天に、あなたは地上に
太陽の下での不幸
死ぬ日は生まれる日にまさる
何事が起こるかは知り得ない
短い人生だからこそ
親友に向かってすら王を呪うな
種を蒔け、夜にも手を休めるな
青春の日々にこそ
著者等紹介
小友聡[オトモサトシ]
1956年生まれ。1986年、東京神学大学大学院修士課程修了。1994‐99年、ドイツ・ベーテル神学大学留学(神学博士)。現在、東京神学大学教授、日本基督教団中村町教会牧師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
58
初めて聖書を読んだ時「コヘレトの言葉」は衝撃だった。「空しい」という単語が38回繰返される厭世主義・虚無主義に戸惑ったものだ。「コヘレトは喜びの説教者である」という本書の見解は、その時と同じくらい衝撃的だ。小友先生は、ダニエル書の黙示思想を徹底的に否定するコヘレトの意図を指摘し、現世肯定的な解釈を提示する。一昨年に発表された聖書協会共同訳で「なんという空しさ、すべては空しい」(新共同訳)が「空の空、一切は空である」と口語訳版に戻ったような翻訳に驚いたが、その作業を担われた先生の意図がよくわかる一冊だった。2020/07/12
ロマンチッカーnao
17
僕の読んでいる聖書では『コヘレトの言葉』ではなく『伝道の書』でした。空の空 空の空 一切は空なり。聖書を通読した際に違和感を持って読んだ記憶があり、でも、ずっと心に残っている聖書の一編。ずっと好きで伝道の書に関する本は今までにも読んでいます。これは読みやすくて心に響くものでした。GWは伝道の書を書くつすつもりです。2024/04/14
紫羊
12
著者の言う通り、聖書協会共同訳で読むコヘレトの言葉は、これまでの訳と印象が異なる。以前から旧約聖書の中でも好きな文書だったが、ますます好きになった。2021/06/11
peace land
8
キリスト教は黙示録をはじめ、黙示文学的な内容が優先するけれど、コヘレトは今を生きよと呼びかけているという。新しい聖書の訳ができて、有効に使って解説してあった。とてもよい本だった。2019/07/04
hirokazu
4
旧約聖書「コヘレトの言葉」。口語訳で育った私には「伝道の書」の名の方が馴染みがありますが,今は違いますね。一見,厭世的,虚無的な感じを受けます。「空の空 空の空、一切は空である。」(1:2)なんて。でも本当は,神を信じ,畏れ,そして今を懸命に生きなさい,という超現実的な教えである事を,本書で学び直しました。「朝に種を蒔き夕べに手を休めるな。うまくいくのはあれなのか、これなのか あるいは、そのいずれもなのか あなたは知らないからである。」(11:6)なんて,素敵ね。(聖句引用は,聖書協会共同訳から)2025/04/12