内容説明
聖書中最も不可解・理不尽な「イサク献供」の記事は古来、読む者を戸惑わせ、さまざまな解釈を生んできた。ユダヤ教、キリスト教、哲学、心理学など諸領域において古代から21世紀に至るまで戦わされた多彩な議論を概観。
目次
創世記二二章1‐19節―翻訳と本文批判
1 古代
2 中世
3 近世
4 近代
5 現代―ユダヤ教の解釈
6 現代―キリスト教の解釈
7 現代―文学・哲学・芸術・心理学等の解釈
著者等紹介
関根清三[セキネセイゾウ]
1950年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科倫理学専攻博士課程修了。東京大学より博士(文学)、ミュンヘン大学よりDr.Theol.現在、東京大学大学院人文社会系研究科・文学部・教授。日本旧約学会会長、倫理学会評議員、基督教学会理事。主要著訳書にDie Tritojesajanische Sammlung redaktionsgeschichtlich untersucht,BZAW 175,de Gruyter,1989,『旧約における超越と象徴―解釈学的経験の系譜』東京大学出版会、1994年(和辻哲郎文化賞、日本学士院賞受賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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T.Y.
3
神はアブラハムに独り子イサクを生贄として捧げるよう命じた。この『創世記』第22章の理解困難な物語を巡って古代から現代まで、ユダヤ教のラビやキリスト教神学者から哲学、文学、心理学等の論者に至るまで、様々な立場からの解釈を収集したアンソロジー。いずれも抄録ではあるが、初邦訳のテクストも多く極めて貴重かつ興味深い。もちろんキルケゴールやデリダといった有名どころは完備の上で、最後は関根清三による諸家の論を数多く参照した上での独自の論で結ぶ。この問題あるいは宗教と倫理の問題に興味があるなら必携の一冊。2014/11/29