内容説明
古代世界の崩壊から近世の黎明である宗教改革までの1千年間、キリスト教は何に直面し、何を考え、どのように歩んだのか。時には情熱に身をまかせ、また時には傲慢に、しかし多くはただひたすらに歩み続けたその光と影。叙任権闘争(世俗権力からの教会の独立)、スコラ神学(知の総合をめざした学問)、修道制(ひたすらに聖を求めた霊性)という、中世の教会を特色づける体(制度)・知性(学問)・魂(敬虔)の3つの曲面から中世世界の勃興、興隆そして崩壊を述べる。
目次
第1章 古代から中世へ
第2章 古代世界の崩壊
第3章 二つの権能(教権と俗権)
第4章 中世的思惟の形成
第5章 中世的敬虔の軌跡―修道制の歴史
第6章 中世世界の解体―結びにかえて
著者等紹介
出村彰[デムラアキラ]
1933年、仙台に生まれる。東北学院大学文学部、東京神学大学卒業。同大学院修了。イェール、プリンストン、バーゼル各大学に留学。神学博士。東北学院大学文学部教授
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感想・レビュー
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nickandhannah
2
タイトルを見てなかなか手を出そうという気にならないかもしれませんが、内容が非常に豊富で、学ぶことの多い、キリスト教史を学ぶ上で絶対不可欠な一冊だと思いました。出村彰氏の著作も翻訳も、日本語の語彙を増やすには最適の教材でもあるので、お勧めの一冊です。プロテスタント教会には、宗教改革だけに注目してしまう傾向があると言いますが、宗教改革に至るまでの所謂「中世」という時代の多くの内容にも是非注目して欲しいと思います。そのためにもこの一冊はとても有益だと思いました。2018/01/07