内容説明
あの戦争のうねりの中で。身に覚えのない罪で、なぜ牧師は検挙・投獄されたのか。教会の講壇、什器、オルガンが競売にかけられていく中で、雑草のかゆをすすりながら家族が見たものは?独房にいる牧師の目に紅葉の影が痛くしみた。キリスト教弾圧事件とその先に続く真の和解の道のりを描ききった証言の書。
目次
第1部 軌跡(教師錬成会1942年;検挙1943年;プレイバック1907~41年;諏訪1943年 ほか)
第2部 和解(混迷の秋1945年;野辺山開拓農場1946・47・48年;和解への道程1945~1997年)
感想・レビュー
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ochibii
2
太平洋戦争中、治安維持法違反として検挙されたホーリネス系の牧師の記録。 一番知るのが難しいことは、国家と宗教の関係がどうあるべきかということよりも、日本という国とキリスト教の代表としての日本基督教団の関係がいかにいびつであったかということ。また、そのなかで「見せしめ」として検挙された牧師、迫害された牧師がいたということだ。迫害された牧師の葛藤は言うまでもない。 戦争を知らない者には、その時代のことを知るには読むか聴くかしかないが、この本はその時代の空気とも言えるものをかなりの程度伝えてくれるように思う。2013/03/05