目次
第1章 迫り来る戦争の足音
第2章 〓安陸軍病院にて
第3章 戦犯として
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小鈴
18
『戦争と罪責』で湯浅軍医のことを知り、グロテスクな好奇心から湯浅氏の半生を綴った本を読み始めたが、大変不謹慎だが面白く読んだ。『戦争と罪責』は「生体解剖」にフォーカスを当て罪の意識について聞いたものだが、過酷な場面のみに焦点からその人を見るだけでは分からないと感じた。昭和10年代の医学生は日本にいるうちから中国陸軍で生体解剖していることを薄々と知っていた。陸軍は組織的に生体解剖をして実戦に備えていた。軍医になったものは基本的には生体解剖経験があり、敗戦後に日本で病院を開院している。多数の軍医が。2021/02/18
小鈴
16
私はこの本を合わせて三冊の軍医ものを読んだわけだが、『比島捕虜病院の記録』の大陸の軍医は生体解剖していたのは間違いないだろう。が、罪の意識をもっているかというとおそらくないだろう。湯浅医師も中国共産党の「刺激のない環境で自分のして来た行為の意味だけについて考えさせる中国式の方法は最も有効な方法であった」、「戦争が終わってからすぐに帰国してしまったひとたちに、わたしと同じように戦争犯罪行為について考えろ、といっても無理な注文なのかもしれない」(224)とある。この本は組織的な医師の加害行為の貴重な記録だ。2021/02/18