内容説明
押絵は江戸時代初期に考案された技法で、厚紙などの台紙に裂を張り、綿を入れて好みを出して立体的に絵を作るというもの。一方、羽子板は古くは「胡鬼板」といい、室町時代の『看聞日記』には「正月に御所で、宮様や女官たちが紅白に分かれて、羽根突きに興ぜられた」とある。この二つの文化が合わさって生まれたのが「押絵羽子板」。江戸文化の爛熟期である文化・文政の頃(一八〇四~二九年)に誕生したという。羽子板の上で生き生きと躍動する歌舞伎役者の舞台姿。それは歌舞伎の隆盛と相俟って大衆に大人気を博し、暮れの歳の市「羽子板市」は、贔屓の人気役者の似顔絵羽子板を求める人で賑わった。本書は押絵羽子板制作七〇年の第一人者、西山鴻月・西山和宏父子の代表作品一〇〇余点を主に、羽子板にまつわる話や羽子板市の様子、押絵羽子板制作のプロセスなどを写真で紹介する待望の作品集。
目次
歌舞伎三大名作
歌舞伎十八番
時代物
世話物
舞踊劇
その他の創作
西山父子の職人技と羽子板市
著者等紹介
西山鴻月[ニシヤマコウゲツ]
大正10年3月13日浅草生まれ。昭和12年羽子板面相師の倉田雅生氏に師事。昭和58年「東京都労働奨励賞」受賞。昭和63年東京都知事指定「東京都伝統工芸士」認定。平成3年「墨田区登録無形文化財保持者」認定。平成4年「東京都伝統工芸品産業功労賞」受賞。平成7年「墨田区教育功労賞」受賞。平成13年「東京都文化功労賞」受賞。平成18年東京都名誉都民顕彰
西山和宏[ニシヤマカズヒロ]
昭和37年10月18日向島生まれ。昭和55年高等学校卒業後、押絵師の桜井秋山氏に入門。その後、父西山鴻月に師事。平成6年「東京都青年優秀技能賞」受賞。平成18年「東京都伝統工芸品産業後継者知事賞」受賞。平成19年「墨田区優秀技能者」表彰。すみだ「マイスター」に認定(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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