内容説明
「神」とともにある人生。昭和知識人におけるカトリシズムの内実を問う意欲的長篇評論。
目次
須賀敦子―カトリック教会への傾斜と反撥
犬養道子―信徒神学を生きる
皇后陛下―へりくだりの詩人
村上陽一郎―近代科学とカトリシズム
井上洋治―スコラ神学の拒否
小川国夫―夢想のカテドラルの彫刻群像
小野寺功―西田哲学とカトリシズム
高田博厚―運命に逆らわぬ生涯
芹沢光治良―実証主義者の「神」
岩下壮一―対決的カトリシズム
著者等紹介
神谷光信[カミヤミツノブ]
評論家。1960年横浜市生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。現在、二松学舎大学教育開発センター客員研究員。難民移民大量流入時代の保守思想に関する評論で「表現者」賞奨励作受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
寛生
51
【図書館】カトリシズム、カトリック教会について憶うし、魅了されるが、やはりカトリック教会は大きいがゆえ、教会自体一度、その凄惨な「罪」について公的に赦しを求めないといけないと思わされたのが第一印象。教会は自らの覆いきれない罪を十二分に承知しているはずだ。ただ、そういう教会体制だからこそ、この9人の「レリギオ」達が出てくるのも否定できない事実。例えば、60年代初頭の米国で始まったフェミニスト神学もカトリック教会に席をおく女性達から出てきたはず。本書は、しかしながら、神学的にもかなり深い呼びかけがある。2014/06/25
ででちゃん
16
著者の文章が、少々難解な感じがした。 須賀敦子さんの章が良かった。 良い意味で認識を新たにした。 他の方で、短歌が紹介されていたが、そこに 見える深い哀しみに胸をうたれる。 2014/07/19
紫羊
14
戦後の日本のカトリシズムの上澄みのような10人だと思う。カトリックの司祭である井上洋治も含め、誰もが殊更カトリック信仰を前面に押し出すことはしていないが、作品や活動、生き方そのものから、信仰の深い根のようなものを感じる。2013/11/02
ユカ
5
カトリック信仰、日本のキリスト教信仰、について知りたかったのでこの本はピッタリ。・・・ただし入口。なんとなくこういうことから入っていけばいいのね、というつまり入門書か。この方もハマり具合がすごい。この本書くの楽しかっただろうなあ。いいなあ。好きな分野で興味は広がるけれど、こうしてちゃんとテーマに沿ってまとめあげられるのが、尊敬・・・ってとこで、自分のレベルの低さに途方に暮れる。・・・ とにかく、ここから興味は広がる。買って正解。2013/06/28
arcturus
3
昭和を生きた十人のクリスチャンの小評伝をとおして、彼らの仕事と彼ら自身にとってのカトリシズムとはどのようなものだったのか批判・検討していくというもの。巨大な問題なのだから本書で完全解決されると期待するのは野暮というものだろう。大正から昭和にかけての社会・科学とカトリック信仰についての著作が多数引用されていた。これは嬉しいけれど、巻末に参考図書として一覧表示しておいてほしかった。2008/08/05