感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あじ
57
大正と昭和を生きた歌人柳原白蓮は、NHK朝の連続テレビ小説「花子とアン」に登場する葉山蓮子のモデルとなっている。歴史に残る『白蓮事件』は世紀の駆け落ち騒動で、当時の首相であった原 敬の暗殺事件の記事を隅に追いやる程、世間の衆目と関心を集めた。時代の風潮(女の身分)と華族に生まれた運命の抑圧が、マグマのような熱情を押し出したのであろうか。本書は白蓮の純粋な伝記。著者の余計な感情移入がなく、冷静に史実を伝える。針の触れが微弱ではあるが、探求心を駆り立てる核心を備えている。白蓮の短歌は煩悩を赤裸々に詠っていた。2014/07/20
よんよん
21
花子とアンに出てきた蓮様。実在した白蓮さんの一生をこうして読むと、映像とオーバーラップして心に響く。2014/10/19
sofia
17
『白蓮れんれん』『アンのゆりかご』などを読んた後の読みだったので、客観的に理解しやすかった。エネルギーの強い人である。2014/11/26
及川まゆみ
9
ざっと再読。白蓮事件がどうしてもこの人の人生では焦点にせざるを得ないけれど、事件の構図が「高貴な姫君と身分の低い成金男」の「対立、そして姫君の勝利」として見られがちだと思うと、やはり伊藤家に同情する。こういう構図は、この白蓮がモデルになった菊池寛の「真珠夫人」でも貫かれた物語構図であり、また、当時から現在までも変わらず、大衆が最も好む対人構図である。その背後に隠されたものはあまりに多いものがあるが、本書だけでは物足りない。二人の結婚は伊藤家が燁子に振り回される始まりでもあった。伊藤家側の本も読んでみたい。2014/04/15
みるこ
8
白蓮のことよりも伝右衛門の男意気に感銘を受けた。女性に対してはたしかにひどい男かもしれないが(それでも当時の大金持ちとしては普通?)地元で名士と慕われるのはちゃんと理由あってのことなのだな。2014/07/28