内容説明
性暴力被害者自身による9000日の記録。
目次
1 「なぜこんなに苦しいのだろう」―未成年への性暴力
2 「体が動かない。これは夢かな」―知らない人からの性暴力
3 「刑法を改正したい」―暴行・脅迫要件の衝撃
4 「ここには被害者がいない」―スーパーフリー裁判を傍聴する
5 「無理をする癖がついてしまっている」―DVのなかでの性暴力
6 「被疑者は取引をしたと言っています」―仕事中の性暴力
7 「たぶん普通なら逃げるんだろうな」―トラウマとの闘い
8 「ますはあなたが元気にならなければ」―障がい者手帳を取得する
9 「一般人の感覚で説明できない罪は罪にならない」―法律の言葉への違和感
10 「You have very bad law」―ロビイングと分断の痛み
11 「性被害ってこんなにたくさんあるのか」―言葉で社会を変えていく
12 「強くなれなくても」―法制審議会への手紙
13 「それを奇跡と呼ぶ前に」―新しいスタートライン
著者等紹介
池田鮎美[イケダアユミ]
1981年、新潟県生まれ。早稲田大学卒業後、雑誌・書籍のライターとして活動していたが、2012年、取材中に性暴力を受けた衝撃から、書くことができなくなる。2017年、一般社団法人Springの設立に参加。同団体の発行するメールマガジン「すぷだより」に寄稿しながら、書くことを取り戻す(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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fwhd8325
53
つくづく、日本は男性社会だと感じました。著者が提起している問題は、どうすれば変わっていくのだろう。例えば、女性議員が増えれば変わっていくのかと考えても、決してそうは思えない。民間レベルにも限界があるだろうが、少しずつ声を上げていくことがいちばんの近道のように感じます。2023/11/26
とよぽん
50
困難を抱える女性の支援をしている知人からすすめられて。「治療されるべきは被害者ではなく社会。」という思いが池田鮎美さんを支えてきた。彼女自身のことを書いただけでなく、子どもの頃からの親友の死、生まれ育った地域の環境など、生きてきた背景も重要だった。性暴力、その後の生き地獄のような苦しみの中、刑法改正に向かって意志を固める過程に引き込まれて読了。法律の言葉がいかに被害者を無視して冷たいか、改めて一端を知った。池田さんを応援したい。この社会を治療しなければ・・・。2023/10/04
ミサ
6
同意のない性行為に対してすぐさま加害とするのではなく、被害者が抵抗したかどうかを証明しなければいけない刑法はおかしい!治療されるべきは被害者ではなく社会。刑法改正へ向けて立ち上がった勇敢な女性たちを尊敬する。2024/07/08
Yoshiko
5
これまでも性暴力の被害者の書いた本は何冊か出版されている。本書が際立つのは言葉との向き合い方である。性暴力により語るべき言葉を失った著者が、その深い闇の中で思考を重ね、自らの体験を言葉を通して昇華させていくことで自分自身を回復させ、PTG(Post Traumatic grpwth)の過程を歩んでいく。その過程からつむぎだされた言葉は独自の輪郭と重みと輝きを持っている。加害者が言い放った言葉、周囲の人々や法律の言葉のむき出しの暴力に、自らの言葉を対置させていく。すべての人に読んでほしい本。2023/06/10
イボンヌ
4
衝撃的な内容でしたので、何回かに分けて読んだ。 とても優しい語りですが。 最近は社会が少しずつ変わり始めてるかもと思う一方で、まだまだ酷い状況だと最近のニュースを観ても思います。 裏表紙にある言葉が全てです。2025/04/09