出版社内容情報
満洲事変以降、固有の矛盾と制約をはらんだ日本の中国支配において、外国資本や海関制度の掌握にむけた試みは前例のない展開をみせた。既存の法秩序や欧米の利権を残存させたまま進んだ特殊な支配の内実を、見過ごされてきた在華外国人の反応の諸相とともに、日・英・中の視点をクロスさせ立体的に描き出す。
内容説明
日・英・中の交錯を解きほぐす。満洲事変以降、固有の矛盾と制約をはらんだ日本の中国支配において、外国資本や海関制度の掌握にむけた試みは前例のない展開をみせた。既存の法秩序や欧米の利権を残存させたまま進んだ特殊な支配の内実を立体的に描き出す。
目次
日本による事実上の支配と在華権益の再編
第1部 満洲(満洲国における門戸開放原則の変容;海関制度からの離脱―満洲の海関をめぐる交渉)
第2部 華北(日本の華北支配と開〓炭鉱;板挟みになる海関―天津の海関をめぐる交渉)
第3部 華中(イギリスの積極的介入と海関制度―上海の海関をめぐる交渉;日中戦争下における海関人事をめぐる攻防;日中戦争下における揚子江航行問題)
第4部 華南(日中戦争下における珠江航行問題)
在華権益の変容とその行方
著者等紹介
吉井文美[ヨシイフミ]
1984年生まれ。現在、国立歴史民俗博物館研究部准教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
17
1930年代の日本による中国占領地支配は、宣戦布告を伴わず、外国の資本や権益に関わる事象の扱いにおいて複雑な要素が内在していた。本書では主に海関(貿易管理と関税業務を担う政府機関)、石炭業、汽船業をめぐるイギリスを中心とした外国利権の攻防を、満洲、華北、華中、華南の地域ごとに細かく分析している。当時の日本は占領地を事実上支配していたが、関連法や条約に基づく中国の主権を一定程度意識せざるを得なかった。元々英米の在華権益を尊重する姿勢を見せながら、英米から対日友好的な態度を期待する外交方針にも無理があった。2025/07/25