出版社内容情報
西洋史上の画期をなすピピンの即位とカールの皇帝戴冠。彼らの血を引く王たちの覇権争いの下、中世世界は本格的に姿を現す。「自由なる民」の興亡をたどる初の通史の最終巻。本巻では、王権の動向を軸に、経済的・軍事的変革やキリスト教規範の浸透、新勢力の台頭を世界史的視座から見届ける。
内容説明
一つの歴史が終わり、いくつもの歴史が始まる―。西洋史上の画期をなすピピンの即位とカールの皇帝戴冠。彼らの後裔による覇権争いの下、中世世界は本格的に姿を現す。「自由なる民」の興亡を描く初の通史の最終巻。本巻では、王権の動向を軸に、経済・軍事の変革やキリスト教規範の浸透、新勢力の台頭を世界史的視座から見届ける。
目次
第1部 新たな王朝の誕生と躍進(ピピン三世の国王即位;カロリング朝の確立と国王カール;カロリング朝の社会機構とカールの皇帝戴冠)
第2部 弛緩する王朝内部の統制力(ルートヴィヒ敬虔帝の危うさ;帝国分裂への序曲;兄弟支配体制の内破;解体過程の揺らぎ)
第3部 権力継承勢力の布置(錯綜する支配継承;領邦覇権の生成様式;支配門閥間の権力ゲームとその結末)
著者等紹介
佐藤彰一[サトウショウイチ]
1945年生まれ。1978年早稲田大学文学研究科博士課程退学。名古屋大学文学研究科教授などを経て、名古屋大学名誉教授、日本学士院会員、フランス学士院会員、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MUNEKAZ
8
シリーズの最終巻はカロリング朝。政治史メインの記述で、カール大帝の覇権と王国の分裂、そして王朝の消滅までを描く。そもそも王国が分裂するほどたくさんいた王子たちが、戦乱やら夭折やらで櫛が欠けるように減っていき、最後は残機ゼロになって、ユーグ・カペーに簒奪されるという諸行無常感が印象的。またそうした事態になった要因として、嫡子と庶子の区別が確立した点や、有力貴族との婚姻を進めた反作用で、貴族間の政争に数少ない正嫡の王子が巻き込まれるようになったことがあるのも興味深い。体制の深化が、新たな争いの種になっている。2023/12/20