出版社内容情報
新たな文体は新たな社会をつくる――。小説中心主義を脱し、政論・史論から宗教・哲学まで、徳富蘇峰を起点にして近代の「文」の歩みを辿りなおし、新興の洋文脈と在来の和文脈・漢文脈の交錯から、それまでにない人間・社会像や討議空間が形づくられる道程をつぶさに描いた意欲作。
内容説明
小説中心主義を脱し、政論・史論から翻訳・哲学まで、徳富蘇峰を起点にして近代の「文」の歩みを辿りなおし、新興の洋文脈と在来の和文脈・漢文脈の交錯から、それまでにない人間・社会像や討議空間が形づくられる道程をつぶさに描いた意欲作。
目次
徳富蘇峰という始点
第1部 精神的開国(徳富蘇峰の出発;徳富蘇峰の思想と文体 ほか)
第2部 文学者の顔と政治家の顔(ポヱチカルな俗語;社会の罪を暴く ほか)
第3部 成長する不健全(深刻の季節;群生する人生観 ほか)
終章 文の明治史
著者等紹介
木村洋[キムラヒロシ]
1981年兵庫県に生まれる。2010年神戸大学大学院人文学研究科博士後期課程修了。熊本県立大学文学部准教授などを経て、上智大学文学部准教授、博士(文学)。主著、『文学熱の時代―慷慨から煩悶へ』(名古屋大学出版会、2015年、サントリー学芸賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
42
O図書館。田口卯吉『日本開化小史』では文学が人の心の顕像を示すこと。文学がときに政治の風景を変える力を持つと訴えらえる(197頁)。前も書いたが、今の時代、芥川賞や直木賞なしなので、誰が政治家を動かすのか? また、この作品には、福沢諭吉先生を論じた箇所があるという。広義の文学を通じて「日本の人心を改造し」(傍点引用者註)た福沢先生の功績が説かれる(202頁)。歴史を十全に捉えるために、政治史の視野から外れる精神や思想、学問を含めた広義の文学史に目を向けなければならない(203頁)という。2025/07/27
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