出版社内容情報
30年代イギリス外交史の実証研究は、1967年の公文書法改正により新しい段階を迎えた。本書は、欧米におけるこの新動向に対応して、イギリスの閣議議事録、覚書、外務省外交文書等一次資料を駆使して、第二次大戦に至るイギリス外交の政策決定過程を精緻に分析する。
目次
序論 研究史と課題
第1部 イギリス外交と宥和の論理(「宥和政策」再検討の視角;イギリス帝国防衛の外交戦略;一九三九年イギリス外交の諸問題)
第2部 三〇年代イギリス外交の岐路―一九三七年(イギリス帝国と地中海;東西の危機とイタリア;チェンバレン対イーデン;一九三七年の国際環境とイギリス外交の戦略)
第3部 第二次世界大戦への道―一九三九年(ポーランド安全保障問題と帝国防衛の戦略;東南欧「平和戦線」と英ソ交渉;対独抑止政策の破綻;「平和」の戦略と帝国の代償)
補論 労働党の対外政策と統一戦線問題
著者等紹介
佐々木雄太[ササキユウタ]
1943年函館市に生まれる。1969年京都大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程中退。名古屋大学法学部教授、愛知県立大学学長、名古屋経済大学学長などを経て、名古屋大学名誉教授、博士(法学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ワッキー提督
2
80年代に書かれた研究書。時代を感じる表現はあるが、この分野で専門的な本を読んでいないため、深く入る入り口としては最適な一冊と感じた。1937年と39年のイギリスの対枢軸国戦略の分析として、「個別の妥協による分断」「同盟と軍備強化による全面包囲」のどちらに力点を置くのかについて、個人レベルで様々な見解があったというのが分析されていた。我々から見れば、チェンバレンの判断など歯がゆい面はあるが、同時代に身を置いていたとしたら、的確な判断が出来たとは到底思えない困難な時代であることが分かった。2022/06/12