内容説明
科学技術の浸透した世界で物事を決めるとき、専門家を無視することも、絶対的に信頼することもできない。では専門知とは何か。会話や「農民の知」から、査読や科学プロジェクト運営まで、専門知の多様なあり方を初めてトータルに位置づける。対話型専門知の可能性に光をあて、現代社会に展望をひらく名著。
目次
序章 なぜ専門知か
第1章 専門知の周期表(1)―遍在専門知と特定分野の専門知
第2章 専門知の周期表(2)―メタ専門知とメタ基準
第3章 対話型専門知と身体性
第4章 言行一致―色盲、絶対音感、重力波についての実験
第5章 新しい境界設定基準
終章 科学、市民、そして社会科学の役割
補論 科学論の幾つかの波
著者等紹介
奥田太郎[オクダタロウ]
1973年生まれ。南山大学社会倫理研究所所長/人文学部教授、博士(文学)
和田慈[ワダメグム]
1981年生まれ。武蔵野大学等非常勤講師、修士(文学)
清水右郷[シミズウキョウ]
1989年生まれ。国立循環器病研究センター医学倫理研究部流動研究員、修士(情報科学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぷほは
6
積読解消。専門知Expertiseの分類学で、かつての知識社会学や現象学的社会学とは全く異なる、21世紀の議論だということを強く意識させられる。『現代実在論入門』で議論されていたドレイファスの身体性論、『名前の哲学』で検討されていたヴィトゲンシュタインの生活形式など、ちょうど直近で読んでいた本との関連性を想起しつつ、3.11からコロナに至る2010~20年代の日本の状況と、チェルノブイリやAIDSなどの海外における科学論の事情を思い出しながら。これまで読んだ科学社会学の本の中で一番面白く読みやすかった。2021/12/31
yasu7777
2
★★★☆☆ 練馬3074-4072021/09/09
Bevel
2
全体としては、ことば(対話的専門知)と行為(貢献的専門知)のあいだにはズレがあって、たこつぼに陥らないために、前者の領域を確定して、よい使い方を考えようという感じ。そもそもの専門知の定義の仕方(丁寧!)、ドレイファスの「身体性」との整合性、いわゆる「生活形式」からくる「タイプ」としての「形成的意図」による科学・芸術・政治の境界設定、実験手法としての「模倣ゲーム」などなど、勉強になった。2021/01/13
takao
2
ふむ2020/09/20
文狸
1
科学哲学、科学コミュニケーションについて現代的な文脈で語りたいときに便利な語彙が揃っているという印象。2024/01/03