内容説明
支払い・貸借・契約・裁判・差押えなど、市場が果たした多様な役割を明らかにするとともに、債権取立てを軸に中世日本の展開を描きだすライフワーク。神人・悪僧に発し金融を担う「公界」と公権力とは、慣習法と制定法、文書とその破棄、暴力と秩序等をめぐり、いかに切り結ぶのか。
目次
第1部 市場の機能―公界再考(市場は裁判の場である;市場は裏切りの場である;市場は支払いの場である;市場は文書作成の場である;市場は身曳きの場である;戦国家法の中の「公界」)
第2部 債権取立てに見る市場と国家(一)―寄沙汰考(寄沙汰前史―僧と金融;平氏政権下での寄沙汰の登場;承久の乱前後の寄沙汰の拡大;公武の寄沙汰対策;証文を破る利倍法;弘安の徳政)
第3部 債権取立てに見る市場と国家(二)―国質・所質・郷質考(日本史上の大断層―寄沙汰から付沙汰・請取沙汰へ;付沙汰・請取沙汰;国質・郷質・所質;楽市令)
結語
著者等紹介
安野眞幸[アンノマサキ]
1940年生。1973年東京大学文学部大学院博士課程単位取得満期退学。現在、弘前大学名誉教授。著書『バテレン追放令―16世紀の日欧対決』(日本エディタースクール出版部、1989年、サントリー学芸賞)他(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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