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内容説明
黄昏とともに羽ばたく梟にたとえられた哲学を“歴史的現実の学”たらしめた田辺元。されど“種の論理”をもって現人神と東亜共栄を根拠づけ、爾後に懴悔した悲劇の哲学者。
目次
第1部 歴史的現実(歴史的現実の一般的意味;時の構造;歴史の地域性、国家と人類、政治と文化;歴史に於ける発展と建設;歴史的現実の新段階)
第2部 種の論理の弁証法(弁証法としての種の論理;弁証法の絶対媒介性―ヘーゲル批判;同一性論理の言語的構造;絶対の観想と行信―プロティノス並に西田哲学批判;個体の論理―アリストテレス批判 ほか)
著者等紹介
黒田寛一[クロダカンイチ]
1927年、埼玉県秩父町に生れる。東京府北多摩郡府中尋常小学校卒。1949年、東京高等学校理科乙類中退。著書『ヘーゲルとマルクス』(現代思潮社)、『社会の弁証法』(こぶし書房)など多数
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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北条ひかり
1
5時間19分(自主制作デイジーを使用) やっぱり、「種の論理の弁証法」は難しい。しかし、文章の難解さの割には、そのロジックは単純にしか思えない。僕の頭がパーだからわかっていないのかもしれないが(苦笑)。ギリシャ語も、ドイツ語も、たまたま理解できるので苦にならないが、わざわざ使う意味がよくわからない。絶対批判の弁証法によって教行信証の絶対他力へ促すのに、外国語や謎めいたジャーゴンを使ったりするのが、日本の学界の伝統なのかなあ? メタモルフォーゼとか、七花八裂とか、ラノベ世代の僕らには馴染みやすい面もあり。2015/06/21
北条ひかり
1
16時間47分(デイジーを自手製作) 田辺元の表題作と「種の論理の弁証法」を収録。黒田寛一(革マル派)による解説にもあまり党派的な嫌悪感がみられないのは、誰でも読めばなんとなくわかるからだろうか。ただ、「種の論理の弁証法」は最後まで読むのに非常に苦労した。歴史的現実を無視できないことは理解できても、全体主義が席巻するかつての日本において、「歴史に於ける個人は縦い名もなき人であるにせよ、種族の中に死ぬ事によって、それを人類的な意味をもった国家に高めるという働きをなす事が出来る。」とは、やはり言い過ぎだろう。2015/06/19