内容説明
これは殺人捜査ではなく、生成の行為だ。20世紀の悲劇の連鎖のなか、二人はどのように生きたのか。それを調べ、記すことの意味とは何か。アカデミー・フランセーズ・ギゾー賞、歴史書元老院賞、オーギュスタン・チエリー賞受賞。
目次
1 自分の村のジャン・プチ=ポミェ
2 職業革命家
3 より「洗練された」反ユダヤ主義
4 私の家族のユダヤ人サン・パピェ
5 一九三九年秋、外国人たちは志願兵となる
6 僥倖の歯科医
7 一塊の丸裸にされた人間性
8 ニオイヒバの生垣に守られて
9 世界の向こう側へ
著者等紹介
ジャブロンカ,イヴァン[ジャブロンカ,イヴァン] [Jablonka,Ivan]
1973年生まれ。現在、パリ第13大学教授。『私にはいなかった祖父母の歴史―ある調査』によってアカデミー・フランセーズ・ギゾー賞、歴史書元老院賞、オーギュスタン・チエリー賞を受賞。ほかに、La¨etitia(2016年、メディシス賞、ル・モンド賞受賞)などがある
田所光男[タドコロミツオ]
1956年東京都に生まれる。1985年東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程中途退学。現在、名古屋大学大学院人文学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
にしがき
13
読んでいて息が詰まる。自分の感情が分からなくなる。押し潰される。/本書は、ユダヤ系フランス人で歴史家の著者が、膨大な一次資料を丹念に読み込み、親戚や地域の住人、その子孫を訪ね歩いて証言を集め、そこから導かれる推測も含めつつ描き出す著者の祖父母の歴史。/著者も父親も、ポーランドからフランスに移ってきた祖父母を知らない。父親が小さいときに戦争で殺されてしまったから。読者はその悲劇の結末を知った上で、著者が集めた証拠と証言、推測を通して祖父母の生涯を追体験していく。/生き残った人ではなく、死んでしまった人の歴史2021/10/26
uniemo
12
歴史学者がユダヤ人で共産主義者であった自分の祖父母がポーランドからパリに亡命しそこで囚われ収容所に送られ亡くなるまでを丁寧に調査しています。親戚や当時近隣に暮らしていた人にも取材したことではっきりとはわからない部分のある祖父母達の生き方も浮かび上がってくる感じがしました。2020/07/08
みゆき
10
「フランスの同化ユダヤ人」歴史教授である「私」が書いた「ユダヤ人ボリシェビキ」たる「祖父母」の歴史。「私」が生きる現代と「祖父母」が生きた時代が錯綜し読みづらいのであるが、しかしだからこそ重厚なものとなっている。多くの人に読んでもらいたい。2019/02/19
大塚みなみ
2
比類のない読書体験。今後、胸を動かされるような本に出会ったとき、つねにこの本のことを思い出して、自身の読書体験を比較・参照することになるだろう。2018/08/26
takao
2
著者は、祖父母がポーランドから移住したユダヤ系フランス人2017/12/25