内容説明
現代哲学の金字塔。われわれの住むこの世界とは異なる、可能世界は実在するのか―この上なく大胆な枠組みを、明晰かつ説得力ある語り口で展開。世界のあり方を新たに問いかけ、知的転回をもたらした衝撃作、ついに邦訳。
目次
第1章 哲学者の楽園(世界の複数性テーゼ;様相実在論に何ができるか―様相 ほか)
第2章 楽園にあるパラドックス?(あらゆるものが現実的になってしまう?;すべての世界がひとつの世界のうちにある? ほか)
第3章 安上がりな楽園?(代用主義のプログラム;言語的代用主義 ほか)
第4章 対応者か、それとも二重生活者か?(良い問いと悪い問い;世界のオーバーラップへの反論 ほか)
著者等紹介
出口康夫[デグチヤスオ]
1962年生まれ。名古屋工業大学専任講師などを経て、京都大学大学院文学研究科教授
佐金武[サコンタケシ]
1978年生まれ。大阪市立大学大学院文学研究科講師
小山虎[コヤマトラ]
1973年生まれ。大阪大学大学院基礎工学研究科特任助教
海田大輔[カイダダイスケ]
1970年生まれ。京都大学大学院文学研究科講師
山口尚[ヤマグチショウ]
1978年生まれ。京都大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
9
必然性を多数の世界間の個体の同一性と捉えなければ、必然性は一つの可能性に格下げされ、現実性は自分が生きていると思う世界のラベルとなり、類似する対応者同士が関係しつつどの可能世界も同等に実在する多世界の一つであることが導出できる。量子論的に偶然を肯定すれば、世界は複数となる。本書は命題の無矛盾性から仮定される様相概念を可能世界(とその部分)によって刷新する大胆な形而上学的試みの集大成である。現実世界を可能世界の一つとする著者の緻密な論証を追う時、読者は偶然に満ちたリスク社会なるこの可能世界を考え始めている。2017/04/25
月をみるもの
8
ルイスの様相実在論と量子論多世界解釈をガチで比較した研究って誰かやってないのかな?2023/04/12
渡邊利道
3
様相実在論のまとめwと反論への再反論。大変面白い。もうちょっとゆっくり検討しつつ読まなければならないのだが、いまはちょっと時間的に難しい。体系化への意志が明確で、英米系哲学の面目躍如である。集合論を用いたいかにも分析哲学的な論理の組立はそのままである種の計算機科学と通底するものさえ感じさせられて、思ったよりアクチュアルな本なのかもしれない。やっぱり定価は高いが買うべきか(図書館で借りて読んだのです)。2016/11/09
ヤマモトショウ
0
やっと邦訳も出たので、一応のチェック。7年前くらいに頑張って自分でつくった全訳と照らし合わせたいのだけど、その時間まではないか。