内容説明
大革命後のフランス美食文化の飛躍をもたらした“食べ手”による美食批評は、レストランガイドの起源となる一方、それにとどまらない深遠な美食観を宿していた。『美食家年鑑』の著者グリモを通して、“よく食べる”とはどのようなことかを探究した美味しい力作。
目次
悪徳から美徳へ―「グルマン」概念の変遷
第1部 深遠なる美食の世界―文人グリモ(年鑑の伝統と美食批評の誕生;食べる技芸、料理技芸 ほか)
第2部 近代デモクラシー社会と美食文化―観察者グリモ(グリモと一九世紀フランスの食文化史;食べる身体)
第3部 食卓のユートピア―思想家グリモ(グリモにおける「美食家」概念;フランス革命前後の政治・社会とグリモ ほか)
第4部 グリモ以降の美食文学とブリヤ=サヴァラン(流行する美食文学;ブリヤ=サヴァランの「国民的」美食)
著者等紹介
橋本周子[ハシモトチカコ]
1982年大阪府生まれ。2005年京都大学文学部フランス語フランス文学科卒業。2012年京都大学大学院博士号(人間・環境学)取得。現在、日本学術振興会特別研究員(PD)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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takao
1
ふむ2021/12/15
ルートビッチ先輩
1
フランス革命と民衆への美食解放は重ねて語られてきたが、その実態はどのようなものであったのか。少なくとも大食は悪徳であったはずで、それが美徳になるにはどのような操作が行われたのか。ブリア=サヴァランというある種イデオローグ的美食家の言説もこれまでその成り立ちについてしっかり読まれてきたとは言い難く、それを照射する意味でも美食の制度化がまだ完了していない時期の発言者としてグリモ・ド・ラ・レニエールを取り上げる。そこでは食べることを語ることや社交と結びつけ格上げするが、その際には革命前への憧憬が作用する。2015/06/26