内容説明
社会主義大国からグローバル・パワーへ。建国60年、改革開放30年の激動をへて、世界有数の大国へと変貌した中国。毛沢東から胡錦涛へと至る政治の巨大な変容を、長年の研究により包括的に叙述、かつてない繁栄を迎えたかに見える大国の新たな肖像を描き出す。第一人者による最も信頼の厚い解説書、大幅改訂による待望の最新版。
目次
現代中国への新たなアプローチ(現代中国の研究―八つのアプローチ;パラダイムの転換は可能か;挑戦その一:三元構造論;挑戦その二:比較の中の中国、中国の「アジア化」;挑戦その三:制度化の視点)
第1部 現代中国六〇年の政治プロセス(毛沢東時代の政治プロセスと毛型リーダーシップ;〓(とう)小平時代の政治プロセス―脱社会主義の道
ポスト〓(とう)小平時代の政治プロセス―資本主義への道)
第2部 中国の国家・党・軍隊(国家の制度とその機能;党・国家・軍三位一体のなかの共産党;政治的軍隊―人民解放軍;党と国家の政策形成のメカニズム)
第3部 変わる中国、変わらない中国(大変身する共産党―エリートの党へ;陳情の政治学―圧力型政治体系論から;比較の中の中国政治)
「中国モデル」をめぐって
著者等紹介
毛里和子[モウリカズコ]
早稲田大学名誉教授(政治学博士)。2010年、福岡アジア文化賞、国際中国学研究賞、2011年、文化功労者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Haruka Fukuhara
5
すごくいい教科書。勉強になる。どうでもいいことだけど、早稲田大の名誉教授が東大出版会と名大出版会から本を出してるって珍しいような。大学出版会ってどういう位置づけなんだろう。別に所属教員の本だけ出している訳でもないみたいだけど基本的には大学出身者が中心に執筆している印象も。2017/03/11
敬介
2
現代中国を理解するためのテキストとして非常に優れた本だと思います。平易かつ包括的に中国の政治制度やそれをとりまく状況についての解説と分析がなされていますので、「一通り理解したい」、「手元において参照したい」という場合に役立つはず。2012/10/21
fuj
1
膨大な原典と先行研究に触れながら政体・国体の変遷と実態を追い、中国モデルの総括として何がここ30年の「持続的成長と近代化」をもたらしたか、今後をどう見ればいいかについて考察する。全然知らずに買ったが薄熙来失脚まで載ってて比較的タイムリー、且つ非常に網羅的で深い。 最後、成功の要因の末項として国際環境への言及があるが、米ソ両国を敵に回した時代から考えれば、所謂平和の配当というのは政策面・経済面双方に相当なインパクトがあったろうと思う。あんま考えたことがなかった。2012/08/19
Tetsuya Noguchi
0
1949年の中華人民共和国成立以降の中国政治に関する骨太な教科書。読み込むほどに味わい深い本だと感じた。2012年までを対象にした本だが、習近平が総書記に就任した2012年以降もかなり激動な時期であり、早く第4版が出ないかと楽しみにしている。 中国の一党独裁制の仕組みはこの本を読むと実によく分かる。それにしても天安門事件を境に、政治改革が後戻りしてしまって今日まで続いている事は本当に残念であるが、あの時に趙紫陽の政治改革が成就していたら、中国はどんな国に今頃はなっていたんでしょうね。2016/06/01