内容説明
「税は公平であるべきだ」と多くの人が言う。しかし、その意味をきちんと考えることは実は難しい。本書は、現代正義論の観点から、これまでの租税理論を根本的に再検討したうえで、課税ベース、累進性、相続、差別といった具体的論点に説きおよび、アメリカで大きな反響を呼んだ話題作。
目次
第1章 序論
第2章 税の公平性に関する伝統的基準
第3章 政治理論における経済的正義
第4章 再分配と公的提供
第5章 課税ベース
第6章 累進性
第7章 相続
第8章 税制上の差別
第9章 結論―政治
著者等紹介
伊藤恭彦[イトウヤスヒコ]
1961年名古屋市に生まれる。1990年大阪市立大学大学院法学研究科博士課程単位取得。静岡大学人文学部法学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぐっさん
1
再読。網羅的ではないが、税における正義とは何かについて考えるにはよい。所得税、消費税、相続税が中心で法人税はほとんど触れられていない。再分配を高所得から低所得への移転として考えるのは不適切で、高所得者と低所得者から同じ程度の効用の低減という基準で累進課税を行い、低所得者を支えるのは社会を安定に保つために必要とか、財産を守るメリットは高所得者のほうが大きいから累進課税を行いなど、考え方によっては不公平にも公平にも見えてくるのが不思議。2020/05/19
ぐっさん
1
課税前の所得はその所得を維持するためのシステムにかかる費用を払っていないことになるので自由に使えるお金として認められない。低所得者にとってやや有利な主張と感じられたが、考え方は勉強になった。2016/05/07