出版社内容情報
初期近代イングランド文化のなかのシェイクスピア――セクシュアリティと結婚、
社会変動と資本主義、王権と民衆文化、個人主義の誕生、宗教改革などのテーマを取
り上げ、同時代の文献や図像に隠された重層的な意味の解読を通して、さまざまな力
が干渉し合うダイナミックな場としてシェイクスピア劇をとらえた労作。
目次:
序 章 初期近代イングランドの文化―〈イメージ〉と〈ことば〉
Ⅰ セクシュアリティ
第1章 家父長制とセクシュアリティの〈ことば〉―『ロミオとジュリエット』
第2章 結婚と性愛のイコノグラフィー―『夏の夜の夢』
Ⅱ 社会変動
第3章 〈運命の女神〉と資本主義の結婚―『ヴェニスの商人』
第4章 異性装と社会変動―『お気に召すまま』
第5章 国家と王権の不安―『あらし』
Ⅲ 民衆文化
第6章 カーニヴァルとレントの闘い―『ヘンリー四世』
第7章 シャリヴァリと鹿の角―『ウィンザーの陽気な女房たち』
第8章 〈さかさま世界〉と狂気と革命―『リア王』
Ⅳ 個人主義
第9章 個人主義の空間的位相―『ハムレット』
Ⅴ 宗教改革
第10章 魔女と地獄と女性恐怖―『マクベス』
第11章 〈イメージ〉と〈ことば〉の葛藤―ヘンリー八世から『ヘンリー八世』まで
付 論 二〇世紀のシェイクスピア研究―分析批評から文化研究へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
中島直人
7
(図書館)中世から近世への社会構造の変化と結びつけたシェイクスピア解釈が印象的。2017/09/03
viola
4
岩崎宗治氏。論文や翻訳では非常にお世話になっているものの、著書は初めて。と言っても、これも論文集なんだけれど。よくぞこれを翻訳してくれました!!!と思えてならないシェイクスピア関連の専門書翻訳家ナンバーワンの著者。『ロミオとジュリエット』『夏の夜の夢』『ヴェニスの商人』『お気に召すまま』『あらし』『ヘンリー四世』『ウィンザー~』『リア王』『ハムレット』『マクベス』『ヘンリー八世』+20世紀シェイクスピア研究といい選び方。強いて言うならば、ローマ史劇もあったら嬉しかったけれど。2013/02/10
ヴェルナーの日記
4
シェークスピアの各作品を通し、当時のイギリス文化について解析している。豊富な数の文献等の資料を掲げてあるので、説得力を有し質の高い論文に仕上がっている。当時の図像を用いて論しているのが特徴的だった。巻末の『二〇世紀のシェークスピア研究』は、同研究する者にとって必読の論文であろう。2010/11/02