出版社内容情報
近年の組織工学研究の発展は目覚ましく、この技術を応用した製品開発が世界中
で急速に進んでいる。本書は基礎生物学的情報、培養臓器研究など、最新の知見を
提示した本邦初の単行本。臨床医には基礎的背景の理解のための入門書として、基
礎研究者には組織工学を患者へ応用するためには何が求められているのかを理解す
る手助けとなるだろう。
目次:
序論 ティッシュ・エンジニアリングとは?/Ⅰ ティッシュ・エンジニアリング研
究の基礎・1上皮―間充織相互作用・2細胞外マトリックス分子と細胞との情報伝
達・3細胞外マトリックスとティッシュ・エンジニアリング・4ティッシュ・エン
ジニアリングへのDDS技術の応用・5肝細胞・6ティッシュ・エンジニアリングと細
胞増殖因子・7組織再生の分子メカニズム・8細胞移植と免疫隔離/Ⅱ ティッシ
ュ・エンジニアリング研究の応用・1培養皮膚・2口腔粘膜・3培養骨・4培養軟
骨・5血管壁の構築・6ティッシュ・エンジニアリングによる心臓弁組織作・7末
梢神経の再生・8角膜と網膜・9肝臓・10膵臓と人工膵臓・11唾液腺/Ⅲ ティッ
シュ・エンジニアリング研究の発展・1ティッシュ・エンジニアリングへの遺伝子
導入の応用・2遺伝子導入と組織再生・3クローン技術と異種臓器移植・4培養皮
膚バンク/補論 ティッシュ・エンジニアリング製品の規制
内容説明
本書は外傷や疾病によって失われたヒトの組織を、再びもとの姿に再生(regeneration)させることができるか?という疑問に明快な解答を与えるだろう。イモリやオタマジャクシは手足を切断されても、もとの場所におなじ手足ができる。これが再生とよばれる現象で、組織の連続性のみが回復する修復(repair)とは本質的に異なるものである。再生と修復をわけるのは、あらゆる組織の源になる幹細胞(stem cell)である。イモリのような下等動物はもちろんヒトでも胎児期には組織のなかに大量の幹細胞が存在する。それゆえ胎児の組織は再生することができる。しかし成長とともに幹細胞はしだいに失われ、成人では胎児の時の数百分の一まで減少するといわれる。この時点でヒトは再生力を失うのである。しかし特別な環境と刺激を人工的に加えれば、再び胎生期のように旺盛な再生力を取り戻すことができることがわかってきた。このような、いったん失われたヒトの再生能力をとりもどすための技術こそがティッシュ・エンジニアリングTissue Engineering(組織工学)とよばれる新しい研究分野である。ティッシュ・エンジニアリングは自然科学のなかでは比較的新しい分野である。しかし21世紀の生命科学の中で最も注目され、とくに医療の世界を大きく発展させる可能性を秘めた分野である。
目次
1 ティッシュ・エンジニアリング研究の基礎(上皮‐間充織相互作用;細胞外マトリックスとティッシュ・エンジニアリング;細胞外マトリックス分子と細胞との情報伝達 ほか)
2 ティッシュ・エンジニアリング研究の応用(培養皮膚;口腔粘膜;培養骨 ほか)
3 ティッシュ・エンジニアリング研究の発展(ティッシュ・エンジニアリングへの遺伝子導入の応用;遺伝子導入と組織再生;クローン技術と異種臓器移植 ほか)
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