出版社内容情報
これまで研究が手薄であった後漢時代史の展開を、「貴戚政治」「士大夫豪族」
「察挙体制」等の新しい概念を通して考察し、皇帝支配のあり方の変化と郷里
社会における豪族の成長とを相関的に把握することによって、中国伝統社会の
原型が後漢時代に形成されたことを明らかにする。
内容説明
宦官と外戚が権力を振った時代、地方では知識階層が形成され、儒家官僚となってこれに対抗した。―貴戚政治、士大夫豪族、察挙体制等の概念を通して、皇帝支配のあり方と地方社会の変容とを相関的に把握、従来顧みられることの少なかった後漢時代を、中国史上に正当に位置づける。
目次
序章 後漢時代史の研究状況と課題
第1章 前期三代の統治と郷里社会
第2章 貴戚政治の成立
第3章 儒学の普及と知識階層の形成
第4章 貴戚政治の展開と儒家官僚
第5章 地方社会の変容と豪族
第6章 党錮
終章 後漢時代の政治と社会
感想・レビュー
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飛燕
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後漢は豪族連合政権であった。との通説に対し、後漢代における地方豪族の発展を重視する視点から批判を試みる。外戚と地方豪族とが協同した「貴戚政治」は豪族が中央に対抗しうるほどの勢力を有していなかったことを示すが、勢力の漸進的伸張と儒学の普及に伴い、「貴戚政治」は否定され、外戚と対立するようになる。こうした地方豪族の伸張は、察挙を利用して特定の豪族サークルが特定の官吏層を独占する傾向(「察挙体制」)からもうかがえる。いわゆる党錮は、サークル同士の対立に宦官が介入することによって起こったものだとする。