出版社内容情報
西ドイツの社会史家コッカやヴェーラーらが19世紀末以降の現代資本主義を特
徴づける新しいパラダイムとして「国家独占資本主義」に替えて提起した「組
織資本主義」概念の有効性と問題点を包括的に究明することによって、混迷す
る現代資本主義論に新鮮な視角を提供する。
内容説明
本書は、1972年10月5日から6日にかけて、レーゲンスブルクで開かれた第29回ドイツ歴史家会議の分科会「組織資本主義の諸前提と発端」において報告されかつ討議された諸論文を、がいして簡略な形で収めている。
目次
1 ヒルファディング組織資本主義論への序説
組織資本主義か国家独占資本主義か
ドイツにおける組織資本主義と干渉国家の興隆
イギリスにおける組織資本主義の発端と前提、1873‐1914年
戦時およびインフレーション期のドイツ組織資本主義、1914‐1923年
アメリカ合衆国における組織資本主義への移行
暫定的な結語
組織資本主義?―総括の試み
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
トキ
2
生産部面の集積という点で独占概念に惹かれる。その後に措定される無批判で硬直した国家独占資本主義という概念に対する批判と代替を求めて、本書の主要テーマである組織資本主義という概念に期待した。しかし、この点では本書から得られるものは少なかった。私は経済と国家の関係において、前者が優位すると同時に完全には前者に包摂されない概念を望んでいる。だが、本書の執筆者達がレーニンやヒルファーディングといったマルクスに連なる論者達と、マックス・ヴェーバーを同時に、思考の為に併存して使用しているのは注目に値する。2023/04/09