出版社内容情報
微笑みの国タイの岩山に住むベニガオザル.明確な順位関係のない「平等」な社会をもつ彼らだが,そこは各々がマイペースに振る舞い,衝突が絶えない世界だ.そんなやられたらやり返す社会の中で,なぜバラバラにならずにいられるのか? 和解のための様々な手段,仲間に見せる気遣い,特殊な性行動など,400頭のサルを見分け追い続けてきた著者がみた彼らの「平和」の秘訣.2022年度日本霊長類学会髙島賞受賞研究.
内容説明
微笑みの国タイの岩山に住むベニガオザル。明確な順位関係のない「平等」な社会をもつ彼らだが、そこは各々がマイペースに振る舞い、衝突が絶えない世界だ。そんなやられたらやり返す社会の中で、なぜバラバラにならずにいられるのか?和解のための様々な手段、仲間に見せる気遣い、特殊な性行動など、400頭のサルを見分け追い続けてきた著者が見た彼らの「平和」の秘訣。2022年度日本霊長類学会高島賞受賞研究。
目次
1章 微笑みの国へ(奇妙な世界からの手招き;マイペースなベニガオザルたち ほか)
2章 暗中模索のベニガオザル研究(ベニガオザル研究、始動;四〇〇頭のサルに挑む)
3章 「平和なサル」のウラの顔―平等社会を維持する努力(食べものいろいろ;白黒つけない社会のルール ほか)
4章 メスをめぐる奇妙な協力―順番に交尾するオスたちの狙い(ベニガオザル特有の交尾行動の謎;難関に挑む―父子判定への道 ほか)
5章 ベニガオザル研究に未来はあるか(研究におけるマイナー種ゆえの壁;冒険的研究の限界 ほか)
著者等紹介
豊田有[トヨダアル]
岐阜県出身。1990年生まれ。物心ついたときから生き物に囲まれて育つ。京都大学大学院理学研究科生物科学専攻(京都大学霊長類研究所)博士後期課程修了、博士(理学)。現在、日本学術振興会特別研究員CPD(国際競争力強化研究員)。2015年にタイ王国に野生ベニガオザルの長期調査拠点を構築、以後継続的に調査を実施。研究テーマはマカク属の社会進化、オスの繁殖戦略、協力行動や社会行動など。医者の家系に生まれながら医学部受験の重圧に挫折し、高校時代は引きこもり生活を送る。そこで出会った生物の先生に日本爬虫両棲類学会に連れて行ってもらったことがきっかけで生物学の世界に足を踏み入れ、気がつけば霊長類学者に。2021年笹川科学研究奨励賞、2022年日本霊長類学会高島賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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