出版社内容情報
ギリシア・ローマ人の対比列伝としてデメトリオスとアントニウス、ディオンとブルトゥス。独立形式で他4名の伝記を収録。全冊完結。
内容説明
プラトンの影響のもと、独裁の打倒を企てたディオンとブルトゥスらの伝記に、総索引も収録。
目次
デメトリオスとアントニウス
ディオンとブルトゥス
アラトス
アルタクセルクセス
ガルバ
オト
著者等紹介
城江良和[シロエヨシカズ]
四天王寺大学名誉教授。1957年兵庫県生まれ。1985年京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得。2017年四天王寺大学退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
8
ギリシャ・ローマの人物伝として読まれる本書だが、2人の人物を紹介した後に添えられる両者の吟味の記述部分にその特色があることが、今回の読書で実感できたように思う。悪徳を尽くした人物として対比されるデメトリオスとアントニウスにも、平時では徳(慎重さや自制)を保つ共通点がある。が、戦時では2人ともこの徳が保てない。ここから徳の欠如としての悪徳が取り出され、読者の吟味に委ねられる。戦いでの指導者の徳の欠如が国家、軍隊、民衆を危機に巻き込むと解する著者は欲望、感情、運が荒れ狂う危機でこそ試される徳を読者に差し出す。2022/06/04
singoito2
5
第5巻が借りられていたので先に第6巻。英雄伝だけれど魅力的な女性たちもたくさん登場するのです。そして本巻にはかのクレオパトラが登場。いや~女性って偉大だな、と思いました。2024/10/25
Fumitaka
0
『英雄伝』では時折、扱われている人物の事績のみならず、たとえばデメトリオスの章の「王や権力者への阿諛追従ほど信用ならないものはない」みたいなプルタルコス本人の教訓めいた言葉が入るが、上述のデメトリオス、ディオン、ブルトゥスの章あたりは「欲望は満たすより抑える術を知った方が相対的に見て幸せ」という『国家』からの引用もあり力を入れて書いているのを感じる。まあ当時は一般教養だったのかもしれないが、プラトン主義者のプルタルコスらしい。アルタクセルクセスの章では『ヒストリエ』の毒塗りナイフの元ネタらしき逸話が登場。2021/06/01